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麻布台界隈の歴史

平成25年10月14日 日本史
麻布台1丁目界隈
麻布台1丁目界隈
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数年前、麻布台にいたことがある。南北線の六本木一丁目付近。その頃付近の歴史を調べた。その頃の資料をまとめてみる。

江戸時代、六本木一丁目駅(泉ガーデン)から飯倉片町までのエリアには、陸奥八戸藩南部家、但馬出石藩仙石家、出羽米沢藩上杉家の上、下屋敷があった。南部家と上杉家の屋敷を挟んだ場所は、丁度谷底のようになっていて、今でも階段のない場所以外、両側には上がれない。

この谷底のような場所には、江戸時代の警察の鉄砲隊員の長屋であった。「御手先与力同心大縄地」。私はこの谷底にあるマンションにいた。

そのマンションの正面には、横川省三記念公園という奇妙な名前の公園がある。横川省三とは、明治期の新聞記者で、南部盛岡藩の出身。日清戦争の従軍記者などを経て後、日露戦争開戦で特殊工作に従事し、ロシア軍の輸送鉄道爆破のため、ラマ僧に変装して満州に潜伏するが、捕獲されハルピンで銃殺刑に処されたという人物。今でも、定期的に右翼のような人達がこの公園を整備している。

公園の隣には、ニコラスピザというイタリア料理屋がある。今はマンションの1階部分にあるが、10年程前まで、この一角には一軒家の店舗となっていた。戦後の闇社会の黒幕の一人”ニコラスザペッッティ”の経営する店で、50年代当時東京に住む外国人、野球選手、芸能人、政治家、暴力団員の集まる人気スポットであったという。彼に関しては詳しい評伝が角川文庫から出版(『東京アンダーワールド』)されている。

ニコラスピザを大道りに挟んだ反対側正面には、日本青年社の事務所がある。これは、住吉会系の右翼団体で、尖閣諸島に灯台を設置するなどの行動派団体である。

この谷の上は、南部藩のお屋敷であったが、明治期、静寛院宮のお屋敷となった。静寛院宮とは、徳川14代将軍家茂のもとへ皇族から降嫁した和宮のことである。その後この地は、東久邇宮家のお屋敷となり、敗戦後初代の首相東久邇宮稔彦王宅であった。現在でいうと、スウェーデン大使館に沿った飯倉片町寄りの一角である。

ちなみに、スウェーデン大使館とアークヒルズの間にある、霊南坂には、戦前右翼の巨頭、頭山満の屋敷もあった。当時彼は、自分の屋敷の隣の家に、孫文をかくまっていたという。

東久邇宮稔彦王宅の隣、大通り方向の一角には、外務大臣の公邸があり、戦後この地で、進駐軍と日本側の担当者との間で、日本国憲法の草案審議が行われた。

この付近には明治期、小説家の永井荷風がうろうろしていたらしく、自宅は、今の霊友会釈迦殿付近にあったという。

江戸以前は、大名屋敷と幕府与力の住宅。明治期から昭和期までは、皇族の屋敷があり、政界、闇社会のさまざまな人物が行き交ったのが麻布〜六本木一丁目界隈の歴史である。

この付近から、神谷町の旧虎ノ門パストラルまでの広大なエリアは森ビルの再開発計画地であり、10年後にはその表情もすっかり変貌していることであろう。

(写真:現在地図に旧址を重ねた図、現在地図、江戸時代地図、憲法起草審議の地碑、和宮邸址地のアークヒルズ仙石山テラス、頭山満邸址のあった霊南坂)

麻布台1丁目界隈麻布台1丁目界隈
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