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「吾平山上陵 〜御親元〜」

平成26年1月20日 九州
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あれは2010年頃のことか。東日本大震災の起こるおよそ一年前ほどになる。なぜか朝鮮半島のことが気にかかり、新潟県から石川県にかけての神社をめぐり、国土安穏の祈願巡礼を始めた。 当時はまだ金正日の時代だったが、やはり核兵器の問題などがあって、漠然とした不安。しかし強い不安と懸念が渦巻いた。

「国土安穏」の旅に出よう。そう思い始めたのがこの頃。

その頃、同じく明治神宮へご祈願に伺った。その折、神集いのことが脳裏に浮かんだ。

「神集い」 神々に関わる魂が何かの機会に、あるいはある時期に、なにがしかの目的を持って集うということがある。歴史上にもそのようなことが幾度もあったはずである。

今まさに時代はそのような瞬間に出くわそうとしているのかもしれない。神々の意思やこの国への思いを形にするために、それに共鳴する魂が集い動き始める。

そういうことがあるのだ。

翌年、東日本大震災が起こった。 一週間後、即座に伊勢へ赴き、外宮、内宮を始め、神宮周辺の主だった神社を二十ほど参詣した。その後、諏訪大社へ数カ月内に四度(前宮、上宮、春宮、秋宮)。

何かに取り憑かれていたように。これほどの激しい思いは無論自分の人生において初めてである。 その後、九州から始まる巡礼の旅。鹿児島、大分、宮崎、福岡、長崎への二度の旅路。出雲、山口、瀬戸内、近畿まで。

60以上の神社を巡ることになった。 知人の誘いがきっかけとなった本土最南端の佐多岬への旅路。知人が、私が神社巡りに力を入れていることを知ってか、大隅半島には地元で有名な聖地があるようだから寄ってみないかと提案してきた。

鹿児島市街方面への帰途上にもあり、寄ってみることとなった。 それが吾平山上陵であった。

神武天皇の父、ウガヤフキアエズ(天津日高日子波限建鵜草葺不合命)とその妻タマヨリビメ(玉依姫)の陵墓とされている。古墳ではなく、非常に山深い場所にある洞窟である。

この地に足を踏み入れた時、自分の魂の根幹に触れるようなある決心が起こった。それは不意討ちのようであった。

「ここが私の起点なんだな」

魂の出発点のようでもあり、これから自分が日本文明、神道、そういったものへ深い思いをさらに深化させる、本物の思いのようなものが沸き上がり、凝結した。

陵墓の前には、伊勢神宮五十鈴川のような清流が流れており、小伊勢とも呼ばれていることもあって、伊勢神宮神域の雰囲気に非常によく似ている。川は流れていないものの、八王子の武蔵野稜を思い出させる風景でもある。

しかし、鹿児島から車で二時間ほどの秘境のような場所でもあり、人が容易に訪れることを許さぬからか、漂う神気は、魂の芯から引き締められるほどのものがあった。

陵内を歩いている時、ふと西行の有名な言葉が浮かんだ。

なにごとの おはしますかは 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる

西行のように涙こそこぼるることはなかったが、この場所に来て、ようやく私は、私の求めていた「神気」に巡り合った気がした。

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