
先の文にて、西洋、とりわけユダヤ・キリスト教文明と日本との関わりについて述べた。しかし、日本の位置づけはそれで終わらない。
時は幕末から明治初年。明治政府は西洋列強とユーラシア大陸側からの圧力をうけながら、自国の保全に力を奪われていた。その時、はるか東、太平洋の真中の諸島の王国から一人の王が明治天皇を訪れた。
ハワイ王国の時の王、カラカウアである。この時カラカウアから明治天皇に対し以下の提案がもたらされた。
日本・ハワイの連邦化
日本・ハワイ間のホットライン敷設
日本主導によるアジア共同体の創設
カイウラニ王女と山階宮定麿王の縁談
驚くべき内容である。この事実を知っている日本人が一体どれほどいるであろう。
日本はこれまでの歴史を見る限り、島嶼地域との相性は非常に良い。台湾しかり。その他、マレーシア、インドネシアなど。私の見解であるが、これら島嶼地域は古代からの歴史の中で同じ日本と同一の文明圏に属しているものと思う。
これらの国々の歴代の権力者は日本を応援し、かつ戦後の日本政府と日本人の頼りなさに失望した。 イギリスの清教徒が、アメリカ大陸に渡り、西へ西へと自らの「開拓精神」で北米大陸を侵攻した。そしてついに大陸の西海岸に到達した時、彼等の“スピリット”は途絶えかけた。
しかし、彼等はさらに太平洋を越え、その精神を貫こうとしたのである。ハワイがその先駆けであった。ハワイ国王はこの事実を憂慮し、西洋人に征服されるくらいならば、同じ有色人種で文化もはるかに共有でき、今や東洋でその力をつけつつある、日本と手を組みたい。そう考えたのである。
そんな最中、ハワイに米国主導のクーデターが起きた。当時ハワイには既に多くの日本人がハワイに入植していた。明治政府は、ハワイ王国からの要請もあり、ホノルル港に東郷平八郎艦長の座乗する巡洋艦「浪速」を投錨させ、米国寄りの政権を威嚇してみせた。しかし、最終的に明治政府はハワイから手を引くことになる。
当時、明治政府は、大陸側と西洋からの圧力に対策を追われ、ハワイにまで手が回らなかった。このような折、アメリカを刺激するべきではないと考えたのである。明治政府は、最終的にハワイ王国の要請を断った。
その後、ハワイは米国の属領となり、王制は途絶え、古来からの文化の多くを破壊された。 徳川幕府も実に戦略的に優れた政権であった。明治政府も歴史的に見て優れた戦略性をもった政権であった。しかし、このハワイに関する明治政府の決断は、その後数百年の日本の戦略史にとって、致命的であったかもしれない。
もし、日本がこの時、要請を受け、強硬にでもハワイを、米国からの占領を退けていたならば、ハワイ王国はまだ何らかの形で存続していたかもしれない。そして、今以上にハワイに伝統的に残っていた文化も保持されていたかもしれない。
また、文化、文明圏として捉えた時、日本がハワイとの関係を強化することによって、日本国全体の磁場が格段と強められ、得られていたであろう本質的な国力は今とは格段に違ったものになっていたと私は思っている。
もし、日本がハワイと緊密に関係し彼等の文化を守っていたとしたら、第二次世界大戦の趨勢も全く違うものになっていたであろう。何せ我々が米国に戦端を切ったのは、真珠湾なのだから。
ハワイ諸島は、巨大な海底火山列島であるという。その巨大な火山の頂上付近がハワイ諸島として、海上にその姿を現している。ハワイの巨大な海底火山を有することは、霊峰富士を東の極にもうひとつ所有しているのと同じ意味あいを持つ。昔から言われるようにハワイは富士山同様、強力な霊地霊山でもあるのだ。
日本の神道は、人間及びその先祖を敬い、全ての動物、植物、そして土地や建物などこの世に存在するもの全てに霊魂が宿るとされ、それらを祓い清めることで、聖なる力からの恩恵を受け、我々人間も幸せに暮せる、という世界観を持つ。
それと全く同じ思想がハワイにもある。最近、私がお世話になっている安倍晴明の末裔という謎の陰陽師氏に、
「ハワイに日本の神道と同じような価値観を持つ思想が古代からあるんですよ」
と話をしたところ、
「そりゃそうだ。同じムーだからな。その流れなんだよ」
と語った。
大西洋にかつてアトランティスという大陸があり、それはいつの日か海底に没したとされている。ギリシャの哲人プラトンは、かつて大西洋上に存在した大陸と文明について語っている。その文明の流れをわずかに受け継いだものが、エジプト文明であり、南米のマヤ、アステカ文明であるという。共にピラミッドを建設し天文学を重視する。
同じように、かつて太平洋には、ムーという大陸があったという。アトランティスの例と同じように、その周辺地域にかつての文明の名残が存在している。そう考えることは興味深い。
ハワイにも日本の神道のように、人間及びその先祖を敬い、土地を清め、この世に存在する全てのものに魂が宿り、それらを日々清め祓うことで、聖なる存在からのインスピレーションを受け取り、人間はその土地でその恩恵を受けて幸せに暮らすことができる。という思想がある。
沖縄にも古来、琉球神道がある。琉球神道は、日本古道の分派とされており、日本の神道に非常に近い思想を持つ。ハワイに残る思想もこれに近いものであろう。同一文明を有するこれら二つの地域を我々はもっと重視しなくてはならないのかもしれない。いずれの地域も米国に占領された経験を有する。
そして、最後に、天皇海山群という名称がある。それをwikiから抜粋する。 1954年にアメリカ合衆国の海洋学者ロバート・シンクレア・ディーツにより、海山の一つ一つに日本の天皇(主に古代)の名前が付けられ、その後、海山群を総称して天皇海山群と呼ぶようになった。
北端はカムチャツカ半島の根元に至り、南端はハワイ海山群(主要なものは水面上に出てハワイ諸島を形成する)に繋がっている。ホットスポット上に生まれた海底火山により、現在のハワイの位置に生まれた島々は、太平洋プレートの移動に伴い海底へ沈んで海山群となっている。
かつてはプレートが北に向かって移動していたため、南北に海山群を形成していったが、やがて4000万年ほど前から、移動する向きが西に変わったので、東西に海山群が生まれていくことになった。
この4000万年以前に生まれ北北西‐南南東に連なる海山群を天皇海山群、4000万年前以降に生まれ西北西‐東南東に続く海山群をハワイ海山群と呼び、この二つを合わせてハワイ‐天皇海山列と呼ばれている。
以上wikiより
土地の持つ性質はそこに暮らす人間の思考形態に重大な影響を与える。文明というものは我々の知識の遠く及ばない歴史と仕組みを持っているのである。
太平洋文明という一連の思考形態が海に埋もれつつも脈々と存在している。そして日本は神道として、その文明を最も色濃く体系的に維持しているのであろう。
前回記したが、我々日本人は、神道がユダヤキリスト教文明の流れを引き継ぐもの、というだけではない。もし、ユダヤキリスト教文明のみを受け継ぐものであったならば、神道は恐らくもっと頑なで、フレキシビリティーのないものになっていたであろう。日本のもつ文明は、東西南北さまざな血脈を受け継ぎつつも、そのベースメントに、土地と万霊を敬う太平洋文明がもつおおらかでフレキシビリティーのある懐の深い仕組を持つ。
土地と八百万の神々。一切万霊を清め祓う思想。同時にユダヤキリスト教など西洋文明の淵源をも内包する、世界でも稀にみる融合性と融通性を持つ。それが日本神道の本来の姿なのであると私は確信している。
