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    グローバリズムとナショナリズムと日本(4)

    平成26年4月29日 文明論
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    日本人とは何か。今まで日本人は自分たちの精神や魂や人間性の成り立ちと自らの文化文明について、多くを語ることはなかった。江戸時代まで日本人は、ほぼ世界から閉ざされた環境下、日本人以外と特に付き合う必要も機会もさほどなく、自らの存在意義を明確にする必要がなかったからである。

    しかし今後、日本人の成り立ちを自ら表現しなければ、いずれ我々の文明は形骸化し、形として日本国が残ったとしても実質的本質的な存在意義は失われるであろう。そうなれば天皇もやがていなくなるかもしれない。人類史としての宿命的グローバリズムの波の中にあって、日本人は自らの存在意義を確信するために何を自覚する必要があるのか。また存在意義とは何なのか。

    日本人を生み出している源泉は、日本人が古くは古代から、神霊、土地/自然霊、先祖霊を三本の柱として、御社を造営し、祭儀を行い、敬ってきたことが成り立ちの主軸であると言って過言ではなかろう。日本国中にある、主要な神社と、地域にある鎮守の御社の仕組みである。そしてそこには祭りがある。

    日本人は、家族の大切さを、ことさらに定義してきたわけではない。中国人のように、過酷な歴史的環境下、家族以外信じることができないことから、家族の繋がりを重視してきたわけでもない。日本人は、神、天皇、土地神霊/先霊、自然神霊、先祖神霊/先霊などと、御社を通じ、時空を超え、無意識に、自然に、繋がる生活をしてきた。それゆえ言葉を必要としなかったとも言える。そして、いざという時、協調できるのである。無意識の世界で繋がっているから、心はどこかで繋がるのである。

    日頃意識することがなくても、意識の深いレベルで、遠い昔の先祖や土地に関わる様々な先霊や神霊、そして天皇霊や八百万の神々とつながっている。これは、我々がそうしているというよりも、我々の先祖が何十代に渡り築いてきた、肉体を超えた繋がりであり、意識するしないに関わらず、我々現代人もその恩恵を引き継いで暮らしているのである。現代のような時代環境にいたっても、新年になれば、特に深い考えもなく、何となく導かれるようにして、多くの人々が神社へと足を向ける。時空を超えた霊感の恩恵を受け、繋がっているからである。

    これが、日本人の本体であり、国体であり、人間的資質の秘密である。このような習慣と仕組を、神道ほどみごとに、宗教的恐怖や押し付けのない状態で、かつ見事に体系化できている文明は世界に見当たらない。キリスト、イスラム、仏教は、神仏と自分との直線的な繋がりしかない。

    先祖、土地、自然などと関わる霊魂をお祀りする仕組みはそれらには基本ない。インド発の仏教の本道は自己の救済であり、日本の仏教は神道思想と習合している。

    他の主要な宗教のように教えや戒律を持たない神道は宗教ではなく「生活の智恵」であると解釈すべきと私は考える。

    教えがないから、個々人がどんな思考の持ち主でも構わない。信仰の如何にも関係ない。自らに関わる先人を敬うという、ただそれだけの仕組みなのである。もちろん祭祀王としての天皇家や主要な神道の保持者には祭儀を司るための手法が必要になる。現代の日本人が、自らの文化文明を語る上で最も重要なことは、このことであると私は確信する。

    そしてその仕組みの頂点に、祭祀王としての天皇の存在がある。現代に至るまで、日本人とは何かというテーマについて、自らにも、そして海外に対しても明確に語ることができず、また日本人はそれを不得意としてきた。しかし、日本人の本質は、実は極めて明快でシンプルに表現し得るものなのである。

    日本の神社の祭神は、靖国神社や東郷神社のようなものもあるが、主祭神のほぼすべては、天皇家に連なる、あるいは関わる神々である。我々は神社をお参りすることで、多くの場合自動的に天皇の先祖を参拝しているのである。これが文明としての天皇の位置づけであろう。

    権力者としての天皇は必要ない。権力者としての天皇は、奈良以降、特定の時期を除き実質的にはほぼ意味がなくなっているが、祭祀王としての位置づけは今日まで変わりない。憲法上においても天皇の存在は、政治的権力とは無関係な位置づけに規定すべきであると思っている。

    文明を規定するのに政治的権力は不要である。政治権力と関われば天皇家はいずれ滅びるであろう。天皇をそのような低い位置づけに置くべきではない。天皇は日本文明の執行者であり、先霊の鎮魂を執り行う最高責任者なのである。

    アニミズム的カルチャーには、先祖崇拝を重視するものがある。特に太平洋文明圏の特徴でもある。しかし、日本の神道は、天皇家が関わることでアニミズムではなくなっている。

    日本の神々の起源をさかのぼることで理解可能であろう。日本の神々の起源と系譜は旧約聖書などで語られる神々と繋がっている。それを明らかにしてゆくのが目的の一つでもある。

    アニミズムの祭神は単なる自然霊やそこに宿る精霊のみである。神道は太平洋文明的なカルチャーを習合しつつ独自の体系を持つに至った。そこに天皇の存在意義がある。

    我々日本人は神社に参拝することで、天皇の先祖を自動的に参拝している。同時に各地域の神社にはその土地に関わる先祖神霊と自然神霊が合祀されている。神道が、天皇家と国民を、土地や家族、先祖とを、自動的に無意識の世界で繋げているのである。日本の本当の強さはここにある。

    神道がなくなれば、仮に天皇家が存在しても本質的な意味はなくなり、やがてこの世から消え去るであろう。日本人の協調性の強さも民度も能力も衰えるだろう。日本人の優秀さは、長い時間に培われた、霊感の遺産なのである。

    しかし、日本人はそのことを理解しているであろうか。武士だ、大和魂だ、日本人精神だ、美しい自然だ、家族の繋がりだ、絆だ、と短い言葉や単語を連発することで済ませてはいないか。

    日本人が、これまで自らの存在意義を言語化することを怠ってきたのは事実である。これを改める必要がある。日本人が日本人になったのには長い時間築いてきた明確な理由がある。

    それを持って、我々は幕末以降の流れを忘れることなく、引き続き世界へ浸透してゆかねばならない。これからの日本人が目指すべきは、支配ではなく浸透である。

    今後日本人への、世界からの風当たりは今まで以上に激しいものになるであろう。そこには、激しい警戒感と畏怖と恐れと羨望が入り混じったものである。

    その風当たりに負け、申し訳ありませんと大人しく引っ込んでしまってはいけないのである。それが約束された使命を果たすことにもつながってゆくのである。(つづく)

    (写真 : 神武天皇陵 橿原市HP)

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