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人の運量

平成27年3月28日 直観・霊感的
レイテ沖海戦時の山城 wikiより
レイテ沖海戦時の山城 wikiより
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父親が生前、彼が軍人だった頃の話をよく聞いた。彼自身信じられないような、普通の人からすると、「奇跡」としか思われないような戦場における、生き抜きの真実をしばしば聞かされたものだ。

ある日、彼は私にこう話した。

『人の生死というのは全く不可解なものだ。戦争が始まる前から船に乗り、数々の激戦の中、数年間も船に乗り続けている、歴戦の下士官がいる。下士官というものは、常に戦闘中は最も危険な場所で仕事をする。

船で弾に中る。などというと不思議に思うかもしれないが、自分が終戦間際に乗船したことのある小型の駆逐艦や護衛艦、海防艦といった船では、米軍の戦闘機が、馬鹿にして煽るように近づいてきた後、機銃掃射をかけてくる。

米軍機が近づいてきた時、米兵の操縦士の顔つきがはっきりと分かる。そのくらい近づいてくる。我々も敵機に機銃掃射するわけだから、彼等も相当勇気のある連中だと思ったものだ。

それほど危険な艦内に戦時中ずっといても、一発も弾が当たらない歴戦の下士官がいるかと思うと、昨日赤紙が招集され、初めて艦に配属された兵隊が翌日に弾に中ってあっさり死んでしまう。

そういうことを何度も見た。人の生き死になど分からないものだ。』

彼は戦後軍人を辞めて、医師になった。そして多くの人の生き死にを再び目にすることになる。

ある日、彼は私にこう言った。

『人の生き死に、寿命というのは、天命で決まっている。自分は多くの病人患者を診てきたが、どれほど、病弱で一生のうちの半分を病院のベッドで送っているような不健康な人間でも90まで生きるものもいるし、健康に気をつかい、一度も病気をしたことがなくピンピンしていたような者でも40、50で死ぬ者もいる。

酒、たばこ、どんな生き方か、そんなの関係ない。ヘビースモーカーでも飲んだくれでも、早死にもいれば長生きもいる。ある程度生活習慣というものは寿命に関係あると思うが、決定的な理由にはならない。もちろん故意にめちゃくちゃやれば早死にすることは多いだろうけれど。』

それを聞いて私は、そんなものか、と思ったことを記憶している。

桜井章一という人物がいる。彼を知っている人は少ないかもしれないが、伝説的ギャンブラーであり、人間の運というものの見方、捉え方を極めたと言える彼の話や文章は、様々な世界の人々に大きな影響を与えている。

彼の著作を何冊も読んだが、その中にこういう話がある。かなり長い引用になるが大変面白いと思うので転載する。

『日常とはたいてい凡庸なものだ。そこに突然、降って湧いたように予想もしなかったラッキーなことが起こると、「これって自分が持っている運を前倒しで使っているんじゃないか」という感想を抱く人もいると思う。
昔の人はいいことが起こると「バチが当たる」という言い方をけっこうしていた。私の母などもよくそう言っていたことを覚えている。
「自分に与えられた運を前倒しで使っているんじゃないか。」「一生分の運を使ってしまったような気がする」大きな幸運に恵まれてそんな感想を抱く人の心理には、昔の人がよく言っていた「バチが当たる」という思いに近いものがあると思う。
なぜならそこには「人が持つ運の量はおおかた決まっている」といった考え方が透けて見えるからだ。
「バチが当たる」という思いの根底には、いいことが起こると悪いことが起こるものだという人生訓がある。いいことが起こると悪いことが起こり、反対に悪いことが起こるといいことが起こる。いいことと悪いことが相殺し合うという感覚には、天が人に与えた運の量は皆等しいし、そうあるべきだという道徳的な考え方が感じられる。
しかし、人の運というものは、石油や天然ガスのような有限のエネルギー資源とは違う。つまり、運の量といったものは何も決まったものはではなく、その人の考え方や行動によって運に恵まれたり、そうでなかったりするだけのことなのだ。
運に選ばれるような、しかるべき考え方や行動を普段からしている人には、大きな幸運に恵まれてからも続けざまに大きな幸運が起こりうるのだ。
そう、生きている間は、運は無限にあると思っていいのである。だが、それはダイヤモンドの鉱脈を掘るように、運の鉱脈をがんがん掘っていけば、ツキまくった人生を送れるという単純な話ではもちろんない。
運は無限かもしれないが、それに恵まれるには正しい選択の積み重ねが必要だし、それに相応しい苦労や努力といったものが伴うということだ。
ただ、昔の人の教訓のように「そんなにいいことが続くわけがない」と思うのは悪いことではない。人の心は放っておけば、楽なほう、楽なほうへと流れるものだ。大きな運に恵まれると、それに依存して考え方の脇が甘くなり、行動がおろそかになったりする。
いいことは、運が悪いほうへ変わるきっかけにもなる。「いいことは続かない」のは、そのためなのだ。その意味で、「いいことが起こるとバチが当たる」という考え方は、そうならないための戒めとして、決しておろそかにはできないと思う』(『運を支配する』より)

彼は、勝負の際、その日の自分の運の量がどの程度かをあらかじめ知ることができ、対戦相手のその日の運量がどのくらいあるかを見極めて勝負するという。

そのように考えることができる、そのように生きることができる、そのような家に、国に、生まれた。そのような親を持った。こういう能力がある。

生まれる以前に授かったもの。それらは自分が生まれる前の時点でどのように生きてきたかの結果によると私は思っている。生まれた時に人生が始まったのではなく、生まれる以前から人間の生きざまは連続して続いているのだ。

世の中がいうところの「平等=物理的絶対平等」には全く同意しないが、人間は常に、生まれる以前から、生まれて以降も含む、それぞれの魂がどういう生き方をしてきたかの結果が個々の「自分」の総体であるという意味では、極めて人間は平等であると私は思っている。

父の話も桜井氏の話もそれぞれ矛盾するようだけれど、人間の在り様を的確に捉えているように私は感じている。

下記の動画は、桜井氏の神業と言われる麻雀の実技を披露したもの。大変面白い動画である。私は残念ながら麻雀は分からないが、これで彼の姿を現しているとは思わないし、これが彼であると思うと逆に誤解を招くかもしれないけれども、常人でないことはよくわかると思う。

https://www.youtube.com/watch?v=xkoyso0JA1M

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