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    芥川賞の意味

    平成27年7月18日 文化・文芸的
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    お笑い芸人の又吉直樹さんが芥川賞を受賞した。

    最近20代の人々で小説というか、本を読む人が増えたとか。20代でテレビをほとんどみない人が非常に多いことと関係あるようだ。

    先日、20代のある男性と話をする機会があった。彼は会うたびにいつも小説を読んでいる。聞いてみるとテレビは全く見ないという。

    自分も学生時代は大量の小説を読みふけった。自然、文学談義にもなり、又吉氏の話にもなった。

    「どうなんでしょうね。話題先行という感じなんでしょうけれど。まだ読んでいません。でも最近の芥川賞作家ってすぐに消えちゃいますよね。」

    確かに、ここ数年の芥川賞作家は私でも記憶がない。数年前に石原慎太郎に喧嘩売って話題になった、奇怪な作家くらいしか。しかし、そんな彼の作品ですら読む気になれない。

    芥川賞作家で近々気になったのは、個人的には、村上龍(1976)以降では、絲山秋子と辻仁成くらい。ちゃんと読んだことあるのが、宮本輝、三田誠広、平野啓一郎くらい。本は買ったがまだ読んでないのが、吉行理恵、玄侑宗久くらい。あとの何十人かはほとんど名前すら知らないのが大半である。村上龍ですら1976年受賞なんだから、近々でもなんでもないけれど。村上龍あたりが分岐点でそれ以前は結構著名な作家、良く読まれた作家が多いように思う。

    百田尚樹氏の「夢を売る男」の話をしたら、彼も読んだという。

    「最近の純文学など全く売れず、よほどの有名人ならいざ知らず、通常は3000-4000部程度の売り上げなどというのが通常だとか。」

    「そう書いてありましたね。」

    この小説は、出版界の実情を赤裸々に書いた作品で、私は百田氏の小説はこれしか読んだことないが、結構面白かった。

    そんな純文学界で百万部突破など、たとえ話題先行で書き手が有名芸能人だったとしても奇跡的な話で、出版業界にとってはドル箱どころか、百万ドル箱の男なんだろうから、利用しない手はない。

    アマゾンでの「火花」の評価はまちまちだけれど、癖のある「文学好き」からは、当然ながら辛口のコメントが多いようだ。

    『芥川賞の価値が地どころか、地底深くまで潜ってしまった感じだ。』

    などなど。しかし私に言わせてみれば、もう結構前から、芥川賞どころか、純文学界自体が地に堕ち、数万程度のニッチなマニアのためのサロンと化しているようにも思われるのだが。それもこれもテレビや携帯、ネットに押されてのことなんだろうけれど。

    とはいえ、最近の20代の動向を見ていると復活の可能性も無きにしもあらずということかもしれない。

    そんな現状を踏まえつつ、又吉さんの受賞会見の文章を読んでみて、個人的には多少の好感を抱いた。

    彼自身自分が受賞したことの真意をクールに受け止めているように思われる。

    文学好きの自分にとっても、出来栄えはどうか知らないが、純文学のカテゴリーの書籍が百万部も売れ、恐らく生まれて初めて、小説を買った人もかなりの数なんだろうけれど、これが小説に親しむきっかけになることは悪いことではないと思っていた。

    『僕の小説を読んでというよりおもしろい小説たくさんあるんで、好き嫌いありますからね、僕の小説で全然合わないけど、他の人の小説でおもしろくて、読む人もいると思うんで、僕の読んで合わへんかったから、小説読むのはやめとうとなるのだけは、その責任だけはみんなで背負っていきたいと。ここでジャッジしないでほしい。1人目で読んでいただけるのはうれしいですけれども、100冊読んだら、絶対、本好きになると思うんです。』

    太宰の墓参りを欠かさないらしく、今月も2-3回も墓参したという。

    そんな思いが通じて、太宰の、あの世からのプレゼントとして今回の受賞ということなのかもしれない。

    火花 (文春文庫 ま 38-1) 文庫 – 2017/2/10 又吉 直樹 (著)
    夢を売る男 (幻冬舎文庫) 文庫 – 2015/4/3
    百田 尚樹著

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