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武家は身が重い

平成28年10月1日 コラム
新田義貞公像
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私は父方も母方も武家の家系だが、母方は祖父が吉田、祖母は今井という名前で、吉田は岡崎藩、今井は岡崎藩の隣にある西尾藩の出である。(不思議なことに父方も祖母方の両家が吉田、今井なのだが血縁は系譜上確認はできない)

吉田は、岡崎藩の藩主が養子で入れ替えの時、岡山だか香川のあたりから岡崎へ移動してきた。殿様の教育係のような役割だという。江戸時代は、藩主の養子、婿入りなどが頻繁にあった。その都度、お付の者共も大挙してお引越しとなる。

祖母方の今井の系図を見ると、はじめ、徳川家康が今川義元の人質になった時、御供したという記録から、江戸時代は、亀山、唐津、浜松、佐倉、西尾というように点々としている。これも全て殿様の「転勤」に御供したことによるのである。

外様は、伊達藩のように、宮城仙台の他に、愛媛宇和島に飛地藩があるような場合を除いては、引っ越しはほとんどないが、幕方は頻繁にあった。今の時代と違って、一族郎党がまとまって移動するから大変である。

さて、話を本題に戻すが、祖母方の今井家の墓参りをしたことがある。

西尾の盛巌寺というところにある。自分は分家筋だが、本家は老職をしていて、幕末期に尊王思想だったらしく、西尾藩の藩主を尊王に諭して、藩論をまとめ、尾張藩にその意思を伝えた。尾張藩も同様の意志でまとまったという。

その人の墓参りに伺った。

「毛利と申します。」

寺の住職に、自分の名前を言うと、目をかあっと開いて、

「毛利さん!それはまたまた!」
「母方は徳川でございまして」

陣中で敵方の武士と会見するような表情だった住職も顔を緩めた。

自分の肉体は、関ケ原の具現化のようなものだ。 住職に墓の場所を聞くと、庭に三基程の大きな墓があるが、そのうちの一つがそれだと言う。一つは藩主のもの。もう一つは、この寺に御縁のあった、新田義貞の末裔の方の墓だという。

そのうち、その新田さんの話になった。住職は語る。

「武家というのは背負っているものが重いんですなあ。その重さに耐えきれなくなって、信仰を持ち、最終的には、クリスチャンになる人は非常に多いんですよ。この新田さんの末裔の方もクリスチャンになった。」

そんなものだろうか。自分も背負うものの重さに気づかされることは多い。父親も軍人だったので、尚のことそう感じる。

しかし、それでも、クリスチャンになろうと思ったことはなかったのだが。

(写真:新田義貞公像 wiki)

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