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    憤怒の政治

    平成28年11月4日 世界史
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    トランプや英国のEU離脱、欧州の右翼政党の台頭、フィリピンの大統領など、このような一連の流れを「憤怒の政治」であるという。

    この記事の中では、その理由を

    「長期的な景気低迷とそれに伴う失業者増、中産階級の崩壊、所得格差などへの反発があるからだと言う。中産階級は、過去何十年も政治を支配してきたエスタブリッシュメントやエリートによる統治を信用できなくなってきたのだ。」

    と解説している。その通りだと思う。

    こういう問題を切り口にせず、彼等の差別的発言などばかりをあげつらい、問題であるといくら言ってみたところで、何の解決にもならない。

    差別的言動のようなものは、決して単独では起こらない。英国や米国での人種差別政策のようなものは別かもしれないが。

    何か日常の生活や社会状況に対して、決定的な不満や、個人では解決できないような問題が露呈している時、そのはけ口として、このような問題が起こる。

    ナチズムも同様である。第一次世界大戦後の常識はずれな戦後賠償。これによって、ドイツ人の大半は破産した。ユダヤ人問題は、ローマ時代から横たわる、キリスト教文明にとっての宿痾のようなものだ。たまたまドイツでナチズムが起こったが、本質的には、欧州のどの国で起こっても不思議ではない。ヨーロッパ人は見て見ぬふりをして、ナチスとヒトラーにこの問題を肩代わりさせたようなものである。たしかに計画的虐殺や抹殺を実行できたのは彼等だけだったかもしれないが。

    当時ハイパーインフレで破産したドイツ人を横目にユダヤ人は、為替取引で難を.逃れた。という話が世間に広まると、しだいに「反ユダヤ主義」が持ち上がる。一体、どれほどのユダヤ人がそれで難を逃れたのだろう。実際はごく一部であったかもしれない。

    さて、不景気、貧困、格差社会などが、原因だという今回の「憤怒の政治」状況。

    私個人としては、これを資本主義の終わりの雄叫びのようなものだと思っている。それは同時に西洋的価値観が世界の中心であることの終わりだと私は思っている。

    第一次世界大戦前後に「西洋の黄昏」を語る評論家が多かったらしいが、今にして思えば、あれは、イギリスが世界の覇権国から滑り落ちる前触れであり、西洋の終わりではなかった。第二次世界大戦後、覇権はイギリスから、アメリカへ移った。欧州が世界の中心から滑り落ちたことは確かであったが、まだアメリカがあった。

    しかし、今回はそのアメリカも終焉に向かう。というよりも、覇権国の座を失う前触れ状態に今あるということが言えるだろう。

    今、世界が大きく揺れ動いているのは、そのことと大きく関係している。

    したがって、「憤怒の政治」の最も核となる原因をたどれば、それは、アメリカの覇権国家としての終焉であり、ひいては、西洋的価値観がいよいよ世界の中心から滑り落ちる時に来ているということだ。

    資本主義の終焉を持って、西洋的価値観の世界的「覇権」も終焉するのである。

    トランプも英国のEU離脱も、ドイツの危機も、欧州における右翼の台頭も全てこのことにリンクしている。

    私はそういう視点から、今の世界状況を見ている。

    (写真:エマニュエルトッド wikiより https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Emmanuel_Todd_11_2014.JPG)

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