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核攻撃と核武装/日本国憲法九条と共産党憲法草案

平成29年7月5日 日本史
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まず核武装している国家は、核武装している国家へ核攻撃するよりも核武装していない国家へ核攻撃する可能性の方がはるかに高い。

核攻撃を行う国家にとって、報復されない国家への攻撃はやり放題ということになる。

日米同盟があって、在日米軍基地への核攻撃を行なった場合、米国は報復するだろう。

しかし、わざと基地を外して攻撃してきた場合、東京の中心部とか中部京阪神の工業地帯などへ核攻撃した場合、原則的には安保条約に従って核報復するかもしれない。

しかし、米国が核報復した場合、米国本土へも核攻撃されるリスクが出てくる。

米国が、日本を守るため自らを報復の対象とされる核報復を仕掛けるかどうかは不透明という他ない。

在日米軍がいるから核攻撃のリスクがあるのではないかという人もいるだろう。では日米同盟がなければ核攻撃のリスクは減るのか。

先ほども書いたように核武装していない国への核攻撃の可能性は、核武装している国への核攻撃よりも可能性は高い。報復されない国家への核攻撃は有利だから。

核武装している国家同士の直接戦争が起これば地球は危機的だが可能性は極めて低い。

しかし、核武装した国家を後ろ盾として、核武装していない国家同士が戦争したり、核武装していない国土が戦場となる戦争は起こりやすいし、今でもそれは起こっている。

憲法九条は誰が見ても占領軍が被占領地を統治するための法的措置として作り上げた占領規定であることは明確だが、当時の日本の政治家はそれを盾にとって、米軍に日本を守らせるという「交換条件」とした。

当時の日本は共産化の危険性があった。仮にあの憲法が占領規定に則ったものだなどと国民に明言すれば政権が崩壊する可能性もあった。

憲法成立前の共産党は、日本はアメリカから独立して国軍を再建すべきという意見であったからだ。共産党はいつの間にか変節「転向」した。結構最近(と言っても20ー30年前くらいなんだろうが)までは国軍創設すべしであったはずだが。

朝鮮戦争が起こると、半島へ日本兵を送り込むことを嫌がった当時の日本の政治家は、さらに憲法を盾にとって、これを回避した。

おかげで「朝鮮特需景気」が起こって日本は経済復興できたというわけである。

自民党の党是は自主憲法制定であり、今もそれは変わらない。共産党も自主憲法制定を目指し自ら憲法草案を起こしてもいる。およそ日本の文化に相応しくない内容だが、どちらも本来はそのような意志を持って動いていたということだ。

憲法を策定草案した当の政党の党是が自主憲法制定であるということは今の憲法は自主憲法ではないということだ。こういう論理にすら気づかない今の憲法擁護派の頭の悪さは如何なものか。

日本国憲法制定前の第九十回帝国議会では、当時の共産党のリーダー野坂参三は、自国を自国の軍隊が守らないなどということがあるものかと、吉田茂に詰め寄ったが、吉田はこれは平和憲法なんだと、日本はもう戦争はしないのだと理屈をこねた。

当時の帝国議会の議事録は今でも手に入る。 結局日本国憲法の制定は共産議員の反対票を除き可決された。当時共産党は自ら憲法草案を持っていたため日本国憲法には反対だったのである。

第九十回帝国議会の速記録から抜粋してみて行く。

まず野坂参三の意見。彼曰く、戦争には正しい戦争と正しくない戦争があり、第二次大戦における、中国、英米の戦争は正しく、日本の戦争は正しくないのだという。それは侵略戦争だからだと。

しかし、英米、特に英との戦争は、英国の植民地における戦争であって、これは英国が侵略奪取した地域におけるものだ。極論としては矛盾している。そもそも日本の戦争が侵略的側面と自衛的側面が融合した戦争であったが、基本的には自衛的であり、部分的に暴走したと言うべきだろう。

「偖て最後の第六番目の問題、是は戰爭抛棄の問題です、此所には戰爭一般の抛棄と云ふことが書かれてありますが、戰爭には我々の考へでは二つの種類の戰爭がある、二つの性質の戰爭がある、一つは正しくない不正の戰爭である、是は日本の帝國主義者が滿洲事變以後起したあの戰爭、他國征服、侵略の戰爭である、是は正しくない、同時に侵略された國が自國を護る爲めの戰爭は、我々は正しい戰爭と言つて差支へないと思ふ、此の意味に於て過去の戰爭に於て中國或は英米其の他の聯合國、是は防衞的な戰爭である、是は正しい戰爭と云つて差支へないと思ふ、一體此の憲法草案に戰爭一般抛棄と云ふ形でなしに、我々は之を侵略戰爭の抛棄、斯うするのがもつと的確ではないか、此の問題に付て我々共産黨は斯う云ふ風に主張して居る、日本國は總ての平和愛好諸國と緊密に協力し、民主主義的國際平和機構に參加し、如何なる侵略戰爭をも支持せず、又之に參加しない、私は斯う云ふ風な條項がもつと的確ではないかと思ふ、」

野坂は絶対中立だと言う。しかしそれを実現するために軍隊や戦争行為全般を否定しているのではない。それは、民族の独立と自立を阻害するものだと言っており、それによってこの憲法には反対であると。

下記抜粋文中の「我々は我が民族の獨立を飽くまで維持しなければならない、日本共産黨は一切を犧牲にして、我が民族の獨立と繁榮の爲に奮鬪する決意を持つて居るのであります、」この部分だけは、惚れ惚れしますね。あんたは偉い!と言いたくなる。それにしても今の共産党の腑抜け方はどうなのかと。

「中立を絶對に守ると云ふこと、即ち我が政府は一國に偏して他國を拜すると云ふが如き態度を執らず、總ての善隣國と平等に親善關係を結ぶと云ふことであります、若し政府が誤つて一方の國に偏するならば、是は即ち日本を國際紛爭の中に巻込むこととなり、結局は日本の獨立を失ふこととなるに違ひないのであります、我々は我が民族の獨立を飽くまで維持しなければならない、日本共産黨は一切を犧牲にして、我が民族の獨立と繁榮の爲に奮鬪する決意を持つて居るのであります、要するに當憲法第二章は、我が國の自衞權を抛棄して民族の獨立を危くする危險がある、それ故に我が黨は民族獨立の爲に此の憲法に反對しなければならない、是が我々の反對する第四の理由であります」

最後に吉田茂はこのように答えている。彼は正当防衛権をも否定している。この文章をよく読むと極めておかしい。「併しながら正當防衞に依る戰爭が若しありとするならば、其の前提に於て侵略を目的とする戰爭を目的とした國があることを前提としなければならぬのであります、」だから交戦権自体を否定するのだと。

「又戰爭抛棄に關する憲法草案の條項に於きまして、國家正當防衞權に依る戰爭は正當なりとせらるるやうであるが、私は斯くの如きことを認むることが有害であると思ふのであります(拍手)近年の戰爭は多くは國家防衞權の名に於て行はれたることは顯著なる事實であります、故に正當防衞權を認むることが偶偶戰爭を誘發する所以であると思ふのであります、又交戰權抛棄に關する草案の條項の期する所は、國際平和團體の樹立にあるのであります、國際平和團體の樹立に依つて、凡ゆる侵略を目的とする戰爭を防止しようとするのであります、併しながら正當防衞に依る戰爭が若しありとするならば、其の前提に於て侵略を目的とする戰爭を目的とした國があることを前提としなければならぬのであります、故に正當防衞、國家の防衞權に依る戰爭を認むると云ふことは、偶々戰爭を誘發する有害な考へであるのみならず、若し平和團體が、國際團體が樹立された場合に於きましては、正當防衞權を認むると云ふことそれ自身が有害であると思ふのであります、御意見の如きは有害無益の議論と私は考へます」

要するに侵略戦争を目的とした国が存在するのだという前提すら否定すべきなんだと。当時、日本はアメリカの統治下だからこんなことが言えたのである。

マッカーサーですら疑問を感じたであろうこのような論理の奥に何があったのか。アメリカに軍事を肩代わりさせて、日本は経済復興したいという側面もあっただろうが、そこに米国本国政府の思惑も絡めてのことであろうことは間違いない。

占領下であれほど長期にわたり支持された吉田茂という人物。有能であるという反面、私はかなり「グレー」な人物でもあったと思っている。しかし、占領下においては、日本の首相として適任であったことは疑いなさそうだ。

最後に、当時の共産党による日本人民共和国憲法草案なるものは今でもネットで検索すれば出てくる。過激派の檄文みたいなおどろおどろしいというか血なまぐさい文章である。

基本的には「日本」という文明と歴史否定と言ったところ。マルクス主義とはそういうものだが。

前文のみ掲載するが当然ながら憲法九条に該当する項目はない。彼らはいつの間にか変節していたのだ。 戦後初期から安保世代にいたる左翼勢力は、

「米国は戦争勢力。ソ連中国は平和勢力」

であると考えるものが多く、実際彼らが「平和」という言葉を使う場合はこれが前提となっていることがある。今でこそ明言しないが、潜在的にそういう考え方を抜け出ていないというよりもシンパシーを抱く者も多いだろう。日教組なども同様。

こういう歴史をしっかりと踏まえておく必要があるだろう。

そもそも天皇はマルクス主義が指摘するような絶対専制君主ではないだろう。マルクス主義は欧州で生まれた思想だ。天皇と欧州の王政、あるいはロシアの帝政、中国の皇帝政治などとは全く合致しない。こういうところにも彼らの基本的な認識ミスがあるのだが。それはさておき。

以下 —

日本人民共和国憲法草案 前文

天皇制支配体制によつてもたらされたものは、無謀な帝国主義侵略戦争、人類の生命と財産の大規模な破壊、人民大衆の悲惨にみちた窮乏と飢餓とであつた。この天皇制は欽定憲法によつて法制化されてゐた様に、天皇が絶対権力を握り人民の権利を徹底的に剥奪した。それは特権身分である天皇を頂点として、軍閥と官僚によつて武装され、資本家地主のための搾取と抑圧の体制として、勤労人民に君臨し、政治的には奴隷的無権利状態を、経済的には植民地的に低い生活水準を、文化的には蒙昧と偏見と迷信と盲従とを強制し、無限の苦痛をあたへてきた。これに反対する人民の声は、死と牢獄とをもつて威嚇され弾圧された。この専制的政治制度は日本民族の自由と福祉とに決定的に相反する。同時にそれは近隣植民地・半植民地諸国の解放にたいする最大の障害であつた。

われらは苦難の現実を通じて、このやうな汚辱と苦痛にみちた専制政治を廃棄し、人民に主権をおく民主主義的制度を建設することが急務であると確信する。

この方向こそかつて天皇制のもとにひとしく呻吟してきた日本の人民と近隣諸国人民との相互の自由と繁栄にもとづく友愛を決定的に強めるものである。

ここにわれらは、人民の間から選ばれた代表を通じて人民のための政治が行はれるところの人民共和政体の採択を宣言し、この憲法を決定するものである。天皇制はそれがどんな形をとらうとも、人民の民主主義体制とは絶対に相容れない。天皇制の廃止、寄生地主的土地所有制の廃絶と財閥的独占資本の解体、基本的人権の確立、人民の政治的自由の保障、人民の経済的福祉の擁護――これらに基調をおく本憲法こそ、日本人民の民主主義的発展と幸福の真の保障となるものである。日本人民の圧倒的多数を占める勤労人民大衆を基盤とするこの人民的民主主義体制だけが帝国主義者のくはだてる専制抑圧政治の復活と侵略戦争への野望とを防止し、人民の窮極的解放への道を確実にする。

それは人民の民主的祖国としての日本の独立を完成させ、われらの国は国際社会に名誉ある当然の位置を占めるだらう。日本人民はこの憲法に導かれつつ、政治的恐怖と経済的窮乏と文化的貧困からの完全な解放をめざし、全世界の民主主義的な平和愛好国家との恒久の親睦をかため、世界の平和、人類の無限の向上のために、高邁な正義と人道を守りぬくことを誓ふものである。

(写真 野坂参三 彼はのちソ連のスパイとされた終戦時の共産党のリーダー)

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