徴用工の問題が発生している。そこで当時の朝鮮半島から日本への朝鮮人移入に関する現実について、当時の公式文書を提示しながら、実情を追ってみる。
現実には、併合後から、朝鮮人の日本本土への移入は激増の一途であった。
事実、日本政府は半島から日本本土への移入を制限していた。
しかし、昭和9年、内閣総理大臣岡田啓介は、渡航制限にも関わらず、密航が後を絶たないことから、「朝鮮人移住対策ノ件」と題する閣議決定を行う。しかし、その後も日本本土への密航は後を絶たなかった。
下記文章にもある通り、当時の朝鮮人の日本本土への渡航は、「朝鮮内における内地渡航熱を抑制すること」とある通り、熱狂に近いものがあったらしいのである。
以下はその際の閣議決定の内容であり、国立公文書館に収蔵されている公式文書である。
以下要約。
本土への渡航者が後を絶たず、犯罪、借家紛議、その他の問題を惹起し、内鮮(本土日本人と朝鮮人)融和を阻害する要因であるから、適切なる対策を講じる必要がある。
朝鮮人を半島内で安住できる制度、及び半島内の人口過密な地域においては、満州への移住を促し、日本本土への移住を減少させることが必要である。
朝鮮人移住対策要目
一、朝鮮内において朝鮮人を安住できる措置を講ずること
(一)農村振興及び自力更生の趣旨を一層強化徹底すること
(二)春窮期に於おける窮民の救済の為社還米(下記説明文あり)制度の普及、土木事業、其の他有効なる対策を行うこと
(三)北鮮開拓、鉄道敷設計画等の実施をなるべく促進すること
二、朝鮮人を満洲及北鮮に移住する措置を講ずること
(一)農業移民の保護助成において適当なる施設を講じ特に人口稠密な南鮮地方の農民を満洲及北鮮に移住させること、満洲移住については満洲国との関係及内地人移民との関係を考慮し関係諸機関と連絡の上実施すること
(二)満洲特に、その東部地方及北鮮における各種土木事業に従事する労働者については可能な限り南鮮における農民の中から供給すること。この為労働者を移動する場合には朝鮮総督府において、その統制及び助成についての適当なる対策を講ずること
三、朝鮮人内地渡航を一層減少すること
(一)朝鮮内における内地渡航熱を抑制すること
(二)朝鮮内における地元諭止(地元に留まる)を一層強化すること
(三)密航の取締を一層厳重にすること
(四)内地の雇用者に対して朝鮮から新たな労働者を雇入れようとすることを差し控え内地在住朝鮮人又は内地人を雇傭する様勧告すること
四、内地における朝鮮人の指導向上及び内地での融和を図ること
(一)朝鮮人保護団体の統一強化をはかると共に指導奨励監督の方法を講ずること
(二)朝鮮人密集地帯の保安衛生その他生活状態の改善向上を図ること
(三)朝鮮人を指導教化して内地に同化せしむること
以上
(社還米とは)
朝鮮,朝鮮王朝 (李朝) で行われた還穀 (義倉米 ) 制。朝鮮の還穀制は本来中国の制度にならったもので,古くから行われていた。すなわちそれは貧民に対する救済と物価の安定を目標として国家財政の一部である官穀を「春貸秋納」するものである。
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以下、原文を掲載。
収載資料:国立公文書館所蔵公文別録 86 ゆまに書房 1997.5 9-12 当館請求記号:YC-98
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朝鮮人移住対策ノ件
昭和9年10月30日 閣議決定
朝鮮南部地方ハ人口稠密ニシテ生活窮迫セル者多数存シ之カ為南鮮地方民ノ内地ニ渡航スル者最近極メテ多数ニ上リ啻サヘ甚シキ内地人ノ失業及就職難ヲ一層深刻ナラシムルノミナラス従来ヨリ内地ニ在住セル朝鮮人ノ失業ヲモ益々甚シカラシメツツアリ又之ニ伴ヒ朝鮮人関係ノ各種犯罪、借家紛議其ノ他各般ノ問題ヲ惹起シ内鮮人間ニ事端ヲ繁カラシメ内鮮融和ヲ阻害スルノミナラス治安上ニモ憂慮スヘキ事態を生シツツアリ
之ニ対シテハ朝鮮及内地ヲ通シ適切ナル対策ヲ講スルノ要アリ即チ朝鮮人ヲ鮮内ニ安住セシムルト共ニ人口稠密ナル地方ノ人民ヲ満洲ニ移住セシメ且内地渡航ヲ一層減少スルコト緊要ナリ
而シテ是等方策ハ内地朝鮮全般ノ利益ノ為一体トシテ之ヲ実施スルコト必要ニシテ財政ノ許ス範囲ニ於テ左記要目ニ掲クル事項ヲ実施スヘキモノトス
記
朝鮮人移住対策要目
一、朝鮮内ニ於テ朝鮮人ヲ安住セシムル措置ヲ講スルコト
(一)農村振興及自力更生ノ趣旨ヲ一層強化徹底スルコト
(二)春窮期ニ於ケル窮民ノ救済ノ為社還米制度ノ普及、土木事業、其ノ他有効ナル方途ヲ行フコト
(三)北鮮開拓、鉄道敷設計画等ノ実施ヲ成ルヘク促進スルコト
二、朝鮮人ヲ満洲及北鮮ニ移住セシムル措置ヲ講スルコト
(一)農業移民ノ保護助成ニ付適当ナル施設ヲ講シ殊ニ人口稠密ナル南鮮地方ノ農民ヲ満洲及北鮮ニ移住セシムルコト満洲移住ニ付テハ満洲国トノ関係及内地人移民トノ関係ヲ考慮シ関係諸機関ト連絡ノ上実施スルコト
(二)満洲殊ニ其ノ東部地方及北鮮ニ於ケル各種土木事業ニ従事スル労働者ニ付テハ能フ限リ南鮮ニ於ケル農民中ヨリ之ヲ供給スルコト之カ為労働者ヲ移動スル場合ニハ朝鮮総督府ニ於テ之カ統制及助成ニ付適当ナル方途ヲ講スルコト
三、朝鮮人ノ内地渡航ヲ一層減少スルコト
(一)朝鮮内ニ於ケル内地渡航熱ヲ抑制スルコト
(二)朝鮮内ニ於ケル地元諭止ヲ一層強化スルコト
(三)密航ノ取締ヲ一層厳重ニスルコト
(四)内地ノ雇傭者ニ諭止シ其ノ朝鮮ヨリ新ニ労働者ヲ雇入レントスルヲ差控ヘ内地在住朝鮮人又ハ内地人ヲ雇傭セシムル様勧告スルコト
四、内地ニ於ケル朝鮮人ノ指導向上及其ノ内地融和ヲ図ルコト
(一)朝鮮人保護団体ノ統一強化ヲ図ルト共ニ指導奨励監督ノ方法ヲ講スルコト
(二)朝鮮人密集地帯ノ保安衛生其ノ他生活状態ノ改善向上ヲ図ルコト
(三)朝鮮人ヲ指導教化シテ内地ニ同化セシムルコト

