十年ほど前に事務所があった麻布台のマンションが再開発でついに解体されるようだ。
もう付近一帯は誰も住んでいない。10年以上前から、森ビルの再開発地域になっていて、非常に広大な一角(恐らく300m四方以上はある。)が神谷町まで続き、それら一帯に完全な無人の人家が広がっていた。まるで限界集落のようであった。
これだけ広大な再開発は恐らく都心では最大にして最後なのではないか。
自分のいたマンションの向かいに公園があり、横川省三記念公園というが、戦前スパイとして満州に潜伏して中国軍だかロシア軍だかに処刑されたという人物の屋敷跡らしく記念碑が残っている。日露戦争の頃の話であったと思う。
桜が美しい。
マンションの反対側の崖上は、旧外務大臣公邸があった場所でここで日本国憲法の審議が行われたという記念碑がある。
その向かい側は永井荷風の住んでいた山形ホテルがあった。
そして外務大臣公邸の並びに、和宮の江戸邸があって、明治以降は東久邇宮家の屋敷だったという。
さらにその並びにはスウェーデン大使館がある。
しかし崖上はすでに開発済。
これだけ広大な都心の無人地帯は見る価値があるだろう。いずれ道路は閉鎖されると思う。
この公園の並びにはドラマ「氷の世界」で主人公(松嶋菜々子)行きつけのバー「ice storm」の設定の建物もあって、また日本で最初のピザ店、ニコラスがあったが、その建物ももうなくなっている。
ニコラスの主人は有名なイタリア人だが、日本の裏社会の黒幕で「東京アンダーグラウンド」というノンフィクションの主人公になっており、往時は力道山やら芸能人たちの集会所だったという。
その名残かこの付近には住吉会系の事務所が大量にある。
戦後あるいは維新以降の歴史を動かした一角がまとめてごっそり消えて、森ビルのピカピカの高層ビルが立ち並ぶというわけである。




