禁秘抄とは承久の院宣の件において、佐渡に遷幸(配流)された順徳天皇が、佐渡以前に天皇(宮中)の有職故実に関して記載したものである。
本来は、後代の天皇に宛てて著したものであるが、現在の天皇家を巡るさまざまな状況を見るに、国民自身が、天皇とは本来どのような御役割をもつものかについての知識が欠落しているのが現状ではないかと思われる。
国民がまず天皇とはいかなるものかについての知識を持つことが天皇の存在を確かならしめるという部分は、少なくとも戦後社会においては重要な意義をもつだろう。 禁秘抄の内容を知ることは、日本人が天皇についてのあるべき御姿についての見識を有するのに最適であると思う。
「禁秘抄講義」は大正14年に関根正直なる人物によって著された書物であり、禁秘抄の内容について詳しく解説されている。
原文は、戦前の文語体の旧仮名遣いであるため、現代において慣れないものには読むことはかなり敷居が高い。
これから、本年度大嘗祭までの期間にこれを、できるだけ平易な文章で改めようと思う。
まず、本文前の緒言として冒頭以下の記載がある。
「我が国の古き史学、文学で、皇室に関係ないものはないから、これらの学問を志すものは、まず禁中(宮中)の有職故実を学ばなければならない。禁秘抄は、順徳天皇の書き著したもので、賢所、三種の神器の由来より始めて、歴代朝廷の重器、宮殿の規模、毎月、毎日の行事、恒例、臨時の儀式儀礼、御膳、御装束、祭祀、斎喪、詔勅、改元、待臣の輔任、賞罰、女官の位次、進退・書礼の儀式その他、何くれの作法に至るまで、おおよそ宮中にての制度を、あらん限り、記されており、これらの故実旧慣の廃れていくのを嘆き、訓戒をもされてあり、上代以来の制度文物の沿革をも拝察しつつ、当時の皇室の状態を知る事のできる宝典である。」
現代においては、採用するに適当ではないと思われるものも含まれているだろうが、それらを含め、分かりやすく、可能な限り簡易に書いていこうと思う。
(写真:国立国会図書館デジタルアーカイブより原本)

