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「禁秘抄講義」を読む(6)神鏡 ― 日像鏡(八咫鏡)の起源について

令和元年6月19日 日本文明・神社・神道
「禁秘抄講義」を読む(6)神鏡 ― 日像鏡(八咫鏡)の起源について
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禁秘抄における神鏡とは八咫鏡であり、これを古語拾遺などでは、日像之鏡とも。天照御神の岩戸隠れの際、神々がどうすべきか思い悩んでいると、思兼神が、石凝姥命に太陽の形を象った鏡を鋳造するよう提案した。

石凝姥命はまず鏡を鋳造するが、『古語拾遺』では、その完成品が石凝姥命の意に添わなかったのだと語られている。その最初の鏡が日前・國懸神宮に祀られている鏡(日矛鏡)であると。

一方、日前・國懸神宮の御由緒にはこうある。

『謹みて按するに日前大神國懸大神は 天照陽之大神の前霊に座しまして 其の稜威名状すべからざるなり 太古 天照大神の天の岩窟に幽居ましし時 群神憂ひ迷い手足掻くところを知らす 諸神 思兼神の議に従いて種々の幣帛(へいはく-神前の供物)を備え 大御心を慰め和わし奉るに當て 石凝姥命(イシゴリドメ) 天香山の銅を採りて大御神の御像を鋳造し奉る』

ちなみに、古事記では、天の金山の鐡。日本書記では、天の天香山の金、古語拾遺では、天香山の銅となっており、神宮の由緒は古語拾遺に近い。

さて、さらに同由緒によれば、日前・國懸神宮の鏡は、日前宮の御神体を日像鏡、國懸神宮の御神体を日矛鏡の計二鏡としており、これは天照大御神の岩戸隠れの際、石凝姥命(イシゴリトメ)によって、鋳造された三鏡のうちの残り二つの鏡であり、八咫鏡よりも先に鋳造されたものだとされている。

さらに戦前、大三島神社宮司三島敦雄氏によって書かれた希代の貴書『天孫人種六千年史の研究』によれば、「紀国造伝に因ると、日前大神は鏡、國懸大神は日矛である。」 日前とは天照大神の前に座す神であるから、日前。 内宮、外宮、前宮の対比となる。 また古代シュメール系神殿は、二社並祀が一般的で、海神、日神、火神などのうちの二神を並べて祀るのであると。 海神の子が日神。日神の子が火神であり、右上左下であると。 伊勢神宮の場合、内宮(日神)、外宮(海神)。 日前・國懸神宮の場合、日前宮(日神)、國懸宮(火神)となる。

日前・國懸神宮に祀られている御神体が岩戸隠れの際、初めに鋳造された一鏡であることは間違いなさそうだが、日前・國懸神宮に祀れているのが、二鏡なのか、鏡+矛なのかは謎である。

いずれにしても、伊勢神宮内宮に対して、日前神宮はその前宮ということになる。近年日前・國懸神宮の名を聞くことは少なくなったが、本来重要な神社であることは間違いがない。

賢所(1-4)

《天皇即位の時、神への供物(供神物)は四十合、内蔵寮より奉納する。毎月一日の御供物は二十合である。台盤所より二帖。内蔵寮より絹五疋。幣料の串八筋。黒塗無文である。また墨筆は、納殿より奉納し、薄様もまた同様である。》

供神物とは、白米、上紙、精進物、魚類、菓子等を盛る。折櫃一箱を一合と称する。納殿は宣陽殿にある。薄様とは紙の名前である。

《賢所の習いとして斎文は押さない。皇居焼亡などの前兆として、発光鳴動することなどがある。堀河天皇の御代寛治八年、このことが度々起こった。天徳焼亡の時もまた鳴動があったと言う。》

祭儀を行っている時に、むやみに人が入らないよう、張り紙をすることがあるが、賢所では祭儀は当然のこととして、これを行わない。斎文とは張り紙のことである。

また皇居焼亡の前兆として、鳴動などがある。その他奇瑞をあわらすということは、小右記、中右記にも記されている。

《内裏焼亡などによって、離宮別院などへ行幸する際、神鏡も同遷するが、念誦堂と言って、離宮別院中で護摩を焚いて煙にあてるなどすることがあるが、神鏡の御在所でもある場所でこのようなことははなはだいかがなものか。いわれがあるわけでもなく、人の思いつきで行われていることである。》

内裏焼亡などで離宮別院へ神鏡と共に遷宮する際、そこで、神鏡を念誦堂に安置するなどということもあったらしい。

(写真:一枚目日前神宮、二枚目國懸神宮)

國懸神宮國懸神宮
國懸神宮 日前神宮國懸神宮 日前神宮
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