グルジェフについては30年以上前から知っていたが、見るからにとっつきが悪く難解なイメージがあり「避けて」通っていた。
昨年、三島由紀夫に関する著作「三島由紀夫と天皇」(小室直樹)を読み始めると非常に面白かったので一気に読み終えた。この著作は小室氏の著作ではあるものの、内容の大半は三島由紀夫や唯識思想からの引用による書籍。非常に面白く学びがあった。三島の遺作「豊穣の海」に内在する唯識思想から見た三島由紀夫の解釈書のような内容である。
唯識については、もう何十年も前から興味を持っており書籍も購入していたが、どういうわけかとっつきが悪く購入した書籍もそのままになっていた。しかし、小室氏の著作を読んだ後に数冊の唯識関連の書籍をすらすら読むことができ理解が進んだ。
世親の「唯識三十頌」はお勧めである。特に阿頼耶識(宇宙意識とも繋がりうる無限の記憶識)と末那識(いわゆる自我意識)の解説を理解することは宗教的なことに興味ある人にとっては極めて重要。第六識以降(阿頼耶識は八識、末那識は七識)については詳細な人間の意識構造(五感やそれに起因する煩悩などの)に関する個別の解説になる。基本的には、八識、七識と六識以降の相関関係を理解することが重要だろう。
仏教思想というのは、ブッダ以降、ブッダ自身の思想とその後のアビダルマ、そして龍樹の中観(縁起の法)と続く世親らの瑜伽唯識思想でほぼ完結していると私は思う。これ以降は、その思想の「信仰化」のプロセスで密教は中でも深層意識に働きかける作用を行式化した「不可思議」さがあるが、それ以降仏教は「禅」を除き「信仰」の世界に入る。
唯識について学んだ後に、なにかの拍子にグルジェフの著作を読み始めた。「奇跡を求めて」が最初だが、個人的にこの書籍は過去数十年で最もインパクトの大きな書籍だった。
明確な相関関係は言えないが、唯識思想を事前に学んでいなければすんなりとグルジェフに入っていけなかったように思う。

