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    父子鷹 特攻と日本

    令和5年1月6日 日本史
    父子鷹 特攻と日本
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    父親は海軍士官で、戦後は医者になった。私は医者の息子として育ったが、自分の人生を振り返る時、私自身の父親を医者と感じたことは少ない。

    むしろ、自分はもの心ついた時から、軍人の息子として育ったような感覚しか残っていない。不思議なものだ。父は厳しかった。

    この日記を書き始めてもう10年弱の月日が過ぎるが、ここで

    「本当の日本」

    について自分の感じている限りのことを、それをできる限りの人々に伝えようと思うのにも、父親との関係があるからだと思われる。

    戦後の日本は「本当の日本」とは言えない。

    古代から連綿と続く日本の歴史にあって、昭和20年以降の日本だけは「異常」である。

    なぜか。それは、日本人によらない「日本」であり続けているからだ。戦後の日本は日本人自身の意思によって作られた社会ではない。

    明治維新はそれまでの日本とは随分変わったが、しかしそれを創ったのは日本人の意思による。

    父親から戦前の

    「日本」というものの在り方や感覚

    というものを聞いており、それが現代の日本と極端に違っていることの違和感を若い頃から非常に感じていた。

    その「肌感覚」を、なんとかして、現代の日本人に伝えたいと思った。

    私にとって父親は「不条理」な存在だったし、決して仲が良かったわけではないが、たとえ彼がどれほど、理不尽な存在であって、納得に値しない部分があったとしても、

    死線を生き抜いて「私」という存在を産み出したという現実に勝るものはなかった。

    私は何をしても彼を超えることができないと痛感した。

    戦後の日本は「平和」だ。

    それはいい面も悪い側面もある。いずれにしても、戦後日本人である私は彼の決定的な経験を超えることはできない。

    しかし、彼が私に残してくれた多くの言葉から「真実の日本」というものを年を重ねるに従って痛切に感じる。

    それをできる限りの日本人に伝えたいという確信を得るにいたったからこの書き込みをすでに8年近くも続けている。

    Facebookでは、過去の記述は見にくいので、ウエブサイトにまとめておきたいとも思っている。

    書き込みは1000件を超えており、それなりに有意義なものだ。

    ここ数年、多くのすぐれた人々が日本文明や真実の歴史、真実の姿について書かれているので重なる部分も多いかもしれないが永久的にその記述を残し、簡単に参照できるようにする方法を考えている。

    下記は、私と父親との関係に関しての10年前のFcebookの記述である。それをここに転載しておく。

    ——-

    2013年3月25日

    荒ぶる海からの生還

    父は戦前、海軍士官であった。終戦に近い頃、木製のモーターボートに爆弾を積んで敵艦に突っ込む「震洋」という特攻兵器の作戦の部隊長をしていた。

    ある日、この作戦司令官に、この特攻兵器の無謀性を訴える論文のようなものを提出したらしい。震洋のエンジンは非力で、敵艦よりも速度が遅い。体当たり攻撃を行っても、敵艦に到達することは不可能であり、そもそも到達以前に敵に発見され、木製ボートは簡単に破壊されることが確実である、と進言した。

    ある日、司令官に呼び出された。司令官はこう言ったという。

    「お前の言うことはよく分かる」

    部隊をはずされた父は、小笠原、硫黄島方面の補給ルートの護衛任務を命ぜられた。終戦間際のこの任務は、特攻作戦同様の危険が伴う。制空権も制海権も既に奪われ、海域には、敵の潜水艦が多数あり、連日多くの被害を出し続けた。

    横須賀港を出港する度に、この港を見るのは今日が最期と思ったという。

    その頃の話として聞いた出来事。乗船していた艦が、米軍潜水艦から魚雷攻撃を受けた。魚雷は速度が速いので、後方から攻撃があった場合、全速力で直線に逃げなくてはならない。素人考えでは、左右に旋回すれば簡単に回避できると感じる。しかし、船は左右に舵を切ると速度が急激に落ちるので、その間に魚雷に追いつかれるのだという。

    父は全速前進を指示し、双眼鏡で魚雷を見ていた。艦より数倍の速さで真後ろから追尾してくる。接触寸前というところで、魚雷が突然推力を失って海中深く消えてしまったのだという。スクリューバッテリーがなくなり推力がなくなったらしい。

    またある日、敵の戦闘機に急襲されたことがあったという。

    「機銃掃射していたが、体当たりしそうな程近づき発砲して来た。戦闘機に乗っていた米兵の顔が良く見えた。人の運命は不思議なものだ。ずっと船に乗っていてもぜんぜん弾があたらない奴もいる。ところが、昨日召集令状で狩り出された初老の兵士があっさり弾に当たって死んでしまった。」

    父は運のいい人間であった。仲間うちで『毛利は死んだ』と思われていたことがあったという。任務から戻り港を歩いていると、「貴様、生きていたのか」と言って驚かれた。そういうことが、一度や二度ではなかったという。

    このように、荒ぶる海を生き抜いてきた父親の線上に自分がいる。私とは何か。

    人は多くの奇跡の上に存在している。多くの屍の上を踏み越えて生きている。それは誰しも同じではないだろうか。

    一番古い父との記憶。部屋の中で、父が作った戦艦の模型を自分が見ている時のものだ。夜で電球の光がその戦艦をうしろから照らし、丁寧に作られた艦橋や、煙突のシルエットが浮かび上がっている。

    「どうだ。よくできているだろう。」

    父はそんなことを言って、自慢気にその船の模型を私に見せていた。

    自分の名前には『洋』の字がある。船の名前をイメージして命名したらしい。

    戦後、大学を受験し直し、医師になった父。自分は医者の息子ではあったけれど、父を医師であると感じたことがあまりない。彼は軍人の精神を失わず戦後を生きたように感じる。

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