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日本文明と民族主義の非関係

令和元年10月7日 日本文明・神社・神道
日本文明と民族主義の非関係
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民族主義の起こりが何かは意外と定かでないようだが、近年において、白人至上主義やユダヤ民族優越思想、ゲルマン民族優越思想というように考えていくと、ユダヤキリスト教文明にその淵源を認めるのが最も理に適っているのではないか。

少なくとも近代以降に発展した民族主義は、欧州発と考えるのが適当である。

ユダヤ教徒は救われ、それ以外は救われない。

キリスト教徒は天国に召されるが、異教徒はそうではない、あるいは地獄に落ちる。

これらは近代以降に隆盛した善悪二元論の起源になるが、民族主義もこのような二項対立の原理に基づいていることは自ずと理解できる。

ゲルマン民族であるか、そうでないか。白人であるかそうでないか。

マルクス主義も同じ構造。

プロレタリアートであるかブルジュアジーであるか。

プロレタリアート=善。ブルジュアジー=悪。

日本文明が二項対立に基づく西洋文明の所産ではない以上、日本文明論者においてはこのような二項対立の理論に自らの価値観を依るべきではないだろう。

保守や右翼に属する人の中には民族主義的な思想を持つものは多い。

日本文明=日本民族

という図式である。

これでは、日本文明は、日本という国土や民族という閉鎖的空間に閉じ込められ、その価値観の普遍化は不可能になるだろう。

今日、ユダヤキリスト教文明の価値意識が世界の主軸となり、人間生活の大半がその価値意識に浸かっているが、次世代の新しい主軸となる文明的価値意識が日本から起こらなくてはならなくなるだろうというのは私の確信の一つである。

しかし、ここでまた大きな誤解が起る。

日本文明は、唯一神教の論理とは全く違うものである。

歴史を見るに、唯一神教を源泉として起こる文明は、他文明を破壊、迫害、圧殺して自身の価値観をそこに上塗りするというものにならざるをえない。

日本文明が国境を越えて伝播したとしても、そのようにはならない。

しかし、それは昨今流行りの「共生」とか「多文化共生」などというものとは正反対の構造である。

多文化共生という言葉には、違う価値意識の人々が同じ家の中で暮らす、という意味あいが強く含まれている。

違う価値観を持った人々が同じ家に暮らす以上、必然的にそれぞれの価値観を「薄める」ことになり、場合によっては「なくす」ことと同義である。

その先にあるのは、優位なものによる「一つの価値観」によって支配統一された社会を目指すというにつきる。

多文化共生という言葉は「社会の一元化」を進める上での、一つの詐術のような言葉に過ぎない。

一方で「多文化共生」という言葉には二項対立をあおり、激化させる要素を孕んでいる。

現代社会には、このような「言葉の詐欺行為」が横行している。

一見するとそうではないようだが、実のところ、そこに真逆の意図を内蔵させ、自分達の欲望を達成しようとする「勢力」がいることを忘れてはならないだろう。

戦後日本人は自らのアイデンティティーや価値意識を意図的に奪われているから「多文化共生」などと言っても「いいじゃないか」と思う者が多いだろう。

しかし、唯一神教を信仰する地球全体の6割ほどの人々にとってはあり得ない話であることを心すべきだろう。

さまざまな国からやってきた留学生達が同じ屋根の下で楽しく時を過ごすというような話は、社会全体、国家間、他文明間には適用できない。

神道では「天照大御神」が最も中心的だと言われるが、だからと言って自宅の神棚の中心が天照大御神でなくてはならない、とは誰も言わない。

神棚は普通三柱を安置することが多いが、主神、先祖神、地域神の三柱にするのが一般的である。

ギリシャ・ローマ時代の祭壇も似たような構成であったと言われる。

日本文明がユダヤキリスト教文明に代わる次世紀の文明の主軸になったとしても、世界の人々が、日本の神様を信仰するようになるという意味では全くないのである。

「それぞれの価値」「それぞれの文明」「それぞれの社会」が自立・自律して互いに共助関係を保ちながら発展していく。

一つの国、一つの社会、一つの地域だけが極端に発展したり、大量の人が流入したりする「一元的な」偏った社会構造を変革する必要がある。

そのために日本文明は必要なのであり、日本という閉鎖空間にのみ閉じ込められては人類の公共と福祉にも不利益なのである。

(写真:壱岐 小島神社)

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