キリスト教が誕生して2000年が過ぎた。この2000年、人間の霊的精神的な支柱は信仰を伴う組織宗教にあった。人々は信仰によって、人間社会の中で社会化された存在として生きるための最低限の生活規範を与えられた。

フランス革命でルイ王朝が滅んだからと言って、西洋キリスト教文明が滅んだわけではない。徳川幕府が滅亡したからと言って、日本文明が滅んだわけではない。日本の天皇と西洋の王を同格に見る考えがある。

日本は一国家一文明と言われる。日本文明は中華文明には含まれないと「文明の衝突」の著者サミュエルハンチントンもその著作の中で語っている。日本にもし、神道が存在せず、渡来仏教のみであったら、

パリ市内にアンヴァリッド(Les Invalides)、日本語では廃兵院という建造物がある。17世紀、ルイ14世が傷病兵を看護する施設として建設したものだ。ここにナポレオンボナパルトの棺が安置されている。大きなドーム状の部屋の中央に高々と彼の遺骸の入った棺が置かれている。非常な威厳を持った空間である。

日本人とは何か。今まで日本人は自分たちの精神や魂や人間性の成り立ちと自らの文化文明について、多くを語ることはなかった。江戸時代まで日本人は、ほぼ世界から閉ざされた環境下、日本人以外と特に付き合う必要も機会もさほどなく、自らの存在意義を明確にする必要がなかったからである。

19世紀末、西洋人による大航海時代から、植民地帝国主義により、世界史上初めて世界五大陸を、人類が自らの版図に見据えることができる位置に立ったその絶頂期に、日本はようやく世界史の表舞台に登場し始めた。しかし、それまでの日本史の様相が世界史の中でみるべき価値がなかったわけではない。