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唯一神ヤーウェとは最高神から遣わされた民族神のこと

平成31年1月15日 文明論
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旧約聖書申命記三十二章第8項から9項の部分にはこうある。

いと高き神が国々に嗣業(神によって分け与えられた引き継ぐべき土地や財産のこと)の土地を分け/人の子らを割りふられたとき/(いと高き)神の子ら(神々)の数に従い/国々の境を設けられた。 主(ヤーウェ)に割り当てられたのはその民/ヤコブが主(ヤーウェ)に定められた嗣業。

この記述は、「いと高き神」(聖書中の最高神)からヤコブ(イスラエルの民の始祖)に与えられた神がヤーウェと名乗る民族神であったことを聖書自体が示している。(聖書の記述に基づけば、ヤーウェに分け与えられた民がヤコブ達、イスラエルの民であった)

「神の子ら」という部分は、死海文書発見前までは「イスラエルの民」と表記されていたが、近年発見された死海文書内の記述には、「神の子ら」という表記であったために以降、この記載に書き改められた。死海文書における記述が原典に近いからである。

「神の子ら」あるいは「主(ヤーウェ)」とは、「いと高き神」の下にあり、民族毎に割り振られた民族神の神々のことであり、ヤーウェとはこの民族神のうちの一神のことを指している。

この文章から、「いと高き神」と、「神の子ら」あるいは「主(ヤーウェ)」とは別ものであることは明らかである。

一神教たる旧約系宗教の神とは、本来、最高神から遣わされた民族神のことであった。(諸説を踏まえれば、ある特定の集団における守護神とも)

それが、排他的唯一神教へと変化した最大の理由は、エジプトに囚われ奴隷として過酷な生活を強いられ、やがてそこを脱出する(出エジプト)する過程で、そしてさらにその後の民族的な苦難の歴史の中で次第に民族的排他性が増していったことがあるだろう。

国を失い、国土と郷土を失って離散するという苦難の歴史の中で、彼等が民族としてのアイデンティティーを保つためにとった究極の手段こそが、自らの民族神を排他的唯一神として崇めることであった。

ニーチェは、憎しみをこめて、ユダヤ教の普及版ともいえるであろう、キリスト教のことを「奴隷の宗教」と呼んだが、ユダヤ民族の歴史的過程と、唯一神教発生の源泉を辿れば、ヤーウェは、「祟り神」である。

神の怨霊というよりは、民族の怨念が、その神に激しさを求めたのか。神に従わなかった民族に対して荒魂の姿を現したのか。いずれにしても激しく祟る神である。祟る神である以上、怨霊神とも言えるのだが。

一方でヤーウェは、出エジプトに際して奇跡を行う。エジプトを脱出後、海辺に宿営していたイスラエルの民に、追撃戦のエジプト戦車軍団が襲い掛かる。しかし、ここで強風が吹いて、戦車軍団が海中へのみ込まれた。

聖書の描写は時としてあまりにも現実離れしていて、創作かとも思えるが、よくよく考えてみれば、この話は日本の神風に瓜二つの現象である。

詳しい経緯は分からないが、元寇における神風のような現象が起こったことは間違いない。聖書の記述通りであるかどうかはさておき、類似の事象が起こった。祟る神でもあるが大いなる守護神でもある。

現代のキリスト教では唯一神教の神学的見地から、ヤーウェが最高神から遣わされた一民族神であるという解釈は否定されるだろう。

しかし、聖書の記述をひもとけば、原初において神と神々(ヤーウェのような民族神達)という関係性を持った世界観が当時存在していたことが分かるのである。

多神教世界であったオリエント文明の分枝として、ユダヤ教あるいは旧約的世界観が確立したことを考えれば、それはごく当然のことかもしれない。

【申命記三十二章】新共同訳より

32:01天よ、耳を傾けよ、わたしは語ろう。地よ、聞け、わたしの語る言葉を。

32:02わたしの教えは雨のように降り注ぎ/わたしの言葉は露のように滴る。若草の上に降る小雨のように/青草の上に降り注ぐ夕立のように。

32:03わたしは主の御名を唱える。御力をわたしたちの神に帰せよ。

32:04主は岩、その御業は完全で/その道はことごとく正しい。真実の神で偽りなく/正しくてまっすぐな方。

32:05不正を好む曲がった世代はしかし、神を離れ/その傷ゆえに、もはや神の子らではない。

32:06愚かで知恵のない民よ/これが主に向かって報いることか。彼は造り主なる父/あなたを造り、堅く立てられた方。

32:07遠い昔の日々を思い起こし/代々の年を顧みよ。あなたの父に問えば、告げてくれるだろう。長老に尋ねれば、話してくれるだろう。

32:08いと高き神が国々に嗣業の土地を分け/人の子らを割りふられたとき/神の子ら(神々)の数に従い/国々の境を設けられた。

32:09主(ヤーウェ)に割り当てられたのはその民/ヤコブが主(ヤーウェ)に定められた嗣業。

32:10主(ヤーウェ)は荒れ野で彼を見いだし/獣のほえる不毛の地でこれを見つけ/これを囲い、いたわり/御自分のひとみのように守られた。

【嗣業】神によって分け与えられ受け継ぐべき財産、特に土地を指す。

(写真:ヤコブの梯子)

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