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    Home»文明論

    神道の世界的役割-宗教的成果・変容・覚醒 あるいは修行法的な世界観に対する個人的なある種の最終的見解

    令和6年4月28日 文明論
    戸隠神社 宝光社
    戸隠神社 宝光社
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    人類にとってのこの二千年を振り返り、結局宗教とは何だったのか。少なくともそれは全ての文明の源泉として大きな役割と成果を産み出したことは間違いない。科学もまた宗教的文明の派生品である。

    一方で、宗教がそれによって個々人に与えた成果は極めて限定的なものでしかなかった。その結実が今の人間社会の有様だと言っても過言ではない。

    この二千年ほどの間、宗教的な成果・変容・覚醒を経て、生死の感覚(あるいはその恐怖)を乗り越え、霊的・意識的に得た世界観について語り、そこへ至るための方法論のようなものを考案して人々に提示し得た人々。

    例えば、ブッダ、キリストがその代表だが、この他にも明確にそれに近い変容を得たと確認できる、ラマナマハルシ、グルジェフ、OSHOのような人々についての歴史を一つ一つ見ていくとある明確な事実に突き当たる。

    彼らに起こった意識の「変容」「覚醒」はほぼ例外なく、突然であり、ある種の偶然であり、不可抗力的な何らかの「事件」が起こったことにより成った。

    上記の人々ほどのスケールはないが、白穏禅師も「コオロギ」の鳴き声を聴いて「悟った」と言われているようだ。

    ただキリストだけはそこに至った経緯が不明確でよくわからないかもしれない。しかしそれ以外の上記の人々は、20-30代までのかなり若い時点で、それがある日突然起こる。

    彼らはみなそれぞれに、自分たちのような霊的・意識的な変容に至る方法を思案・考案し紹介した。場合によっては、自分が語る方法以外では不可能だとか、自分の言うこと以外は信じてはいけないなどと言うこともある。

    その一方、彼らの説く方法論は、ほぼ例外なく彼らの「変容」後(あるいは事後)、それぞれの意識の有り様に照らして彼らが思案・考案したものであり、彼ら自身がその方法によって「変容」に至ったのだとはほぼ言えない。

    このおよそ二千年の間、彼らが説く方法論を数えきれないほどの人間が血眼になって取り組んできたが、彼らと同様の成果を得たと明確に言える事例はほぼない。もちろん人知れず成果を得た者もわずかにはあったかもしれないが、それも「その方法論」でそうなった保障もない。

    このような個々人の宗教的取り組みは人類にとって全く無意味であったとは言えないが「宗教的成果」というよりは「道徳的成果」あるいは極めて限定的な意識の変化あるいは「理解」の範疇に収まる程度のものでしかなかったとも言えるだろう。ひどい場合にはただの「思い込み」に過ぎないとしか思えない場合も多い。

    彼らの説く方法論は、彼ら個々人の内的な世界観の有り様に沿って解かれており、彼ら個々人にとっての、その時点においての最適な表現ではあったかもしれないが、それが万人にとっての「最適」である保障はどこにもない。

    これを数式で表現すると、

    「AはB的な何らかの突発的な作用でCに至った。AはCに至るための方法論をDという形でE・F・Gらに説いた。E・F・GらはAの説いたDという方法論に死に物狂いで取り組んだが、Cに至る者はほぼ皆無で、二千年経過した現在においても、Dによる明確なC的成果が得られたという確証は得られていない。」

    ということになる。Bこそが宗教の神髄かもしれないが、それはいまだに未知のままである。

    結局、人が彼らと同様の道を歩むには、個々人が苦しみながら自分に相応しい形で見出すー何某かのBを得るー以外には方法がないと言える。個人的には断言しても良い。

    グルジェフはその他の宗教的指導者とは違った視点がある。彼は人間を3種類に分けた。仏教に身口意という表現があり三密などとも言うが、これを人間に分類したという感覚に近い。

    人間第一番 動作的人間
    人間第二番 感情的人間
    人間第三番 思考的人間

    生まれながらの人間はこの3種類しかなく、人間第四番以上になるには自らのすさまじい努力や精進(彼はこれを「超努力」と言っている)を経なければならない。と言っている。

    グルジェフは人間第四番以降に初めて人間は「魂」を獲得できるとし、それ以前の段階の人間は「魂」と明確に表現できるものは個々には存在せず、多くは次の生命を産み出し、継続するための肥料となるのだ、と語っている。

    彼の言う「魂」とキリストの言う「永遠の生命」は同義に思える。あるいはブッダの言う「解脱」とも近いが、ブッダの言う「解脱」は、グルジェフの分類で言うと人間第六番以降になるだろう。

    人間第一番には人間第一番的な宗教、二番には二番的宗教、三番には三番的な宗教があるとも言う。信仰を主とする宗教は人間第二番の宗教で、何某かの肉体的な修練を主とする宗教は人間第一番の宗教。科学的な理解あるいは思想的な理解によるものは人間第三番の宗教だとも語っている。

    さらにグルジェフは、人間第四番以上になるためには、この一番から三番まの3種をバランスよく統合した上で、さらにある時点で何がしかの「外的ショック」が必須になる。と言う。

    確かに本当の意味での理解と頭だけの理解(理屈)とは大きく隔たる。人が何かを真に理解するとは、心と体の深い部分で知覚し、さらにそれを頭で納得する必要がある。「外的ショック」とはまさに突発的な何か、不可抗力的な何かのエネルギーが加えられることを示しており、これを意図的に引き起こすことは難しい。

    グルジェフは彼なりの知見から、生前さまざまな「実践方法」を模索した。しかし、これまで語ってきたように、グルジェフの語った方法論もまた一つの試みであり、万人に成果を与えるものとはならなかったし、彼自身そのことをよく理解しており、さまざま苦悩した様子も伺える。

    ただ、彼の言う、3種類の人間タイプの分類法は非常に優れており、誰にとっても大いに参考になるだろう。

    これまで見てきたように、宗教的な実践というのは本来極めて個人的な試みである。これからの時代は、さらに宗教的な試みの「個人化」が進むことになるだろう。

    神道は明確な共通の教えを持たず、内面(霊的・意識的)な有り様は個々人に委ねられている。動作が主体の日本の文明的特徴を持っており、グルジェフの分類でいえば人間第一番の宗教だと言えなくもないが、であるが故に他の世界的宗教が持ちえない多くの可能性を秘めている。

    グルジェフの分類で言えば、日本以外のほぼ全ての文明は、人間第二番又は三番のものだからだ。いまそれが崩壊の危機に瀕しているとも言えるだろう。

    神道は「次の時代の宗教」のベースとなる形態と可能性を所有し、かつ体系化されて大きな基盤を所有し、かつそれに基づいて大きな文明的な成果を所有する世界でも類例のない事例であると言える。

    グルジェフ

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