自然の生き物たちは老衰するとどこへ消えてゆくのか。
人生でこれまで、
ああ、これは老衰で死んだ鳥に違いないとか。
ああ、これはきっと老衰で死んだ魚だろうなとか。
ああ、これは老衰で死んだ猫であろう。気の毒にとか。
そういう光景に一度も出くわした記憶がない。
老衰で死んだ姿を見るのは人ばかりである。
いや、蝉があった。
蝉と人ばかりである。
人と蝉以外の生き物の死はどこか暗い世界に吸い込まれているのか。
根の国か。
奇妙な話である。
人と蝉以外の生き物が何か奥ゆかしいものに感じられてくる。

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