夏の終わりの少し前、比較的森のある郊外の路上を歩いていると、
ビリビリ、ビリビリと悲痛な叫び声を上げながら、路上を辺り構わずのたうち周る、余命幾ばくかの蝉の姿を見る。
「おかしいな。まだ跳べるはずなんだが、、、なぜか。」
あいつらは、いつも通り翼を動かしてみるのだが、上手くいかないのだろう。
あいつらは死期を前に、どうも潔さというものがない。蝉は死期を悟らぬ生き物か。
そいつの周りをふと見てみると、仲間達の虚ろな屍が、撒き散らされてある。
「死ぬ間際に泣き叫び、悶え苦しみながら、情けなく、みっともなく、死に様を晒すのは人と蝉くらいのものか。」
路上を抜ける車の車輪が一匹の虚蝉を潰して去った。
静かに音もなく、いつの間にか、この世を過ぎ去って行く生き物達のようでありたい。
身近の者の死を目の当たりにした時。残るのは、音もなく、ただ自分を優しい目で見つめる姿ばかり。
逝きし人の声は聞こえない。
(写真: 報国寺竹林)

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