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三島由紀夫の天皇論を片手に

平成31年3月15日 日本文明・神社・神道
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最近は、wikipediaが非常な情報源になる。こういうことを言うとなんだその程度かと言われるが、ものによっては非常に深い内容を含んでいてしかも短時間で核となる部分を手にするケースもある。

最近、三島由紀夫のwikipediaを見ていたら、かなりの論文にも匹敵するほどの情報に驚かされた。恐らく記述者はそれなりの研究者なんだと思う。

以下は、三島由紀夫の天皇論の項

「三島は、「天皇の政治上の無答責は憲法上に明記されねばならない」とし、軍事の最終的指揮権を「天皇に帰属せしむべきでない」としている]。これは天皇が日本の歴史の「時間的連続性の象徴、祖先崇拝の象徴」であり、「神道の祭祀」を国事行為として行ない、「神聖」と最終的に繋がっている存在ゆえに、「天皇は、自らの神聖を恢復すべき義務を、国民に対して負ふ」というのが三島の考えだからである。」(「問題提起 (一)新憲法における『日本』の欠落」(憲法改正草案研究会配布資料、1970年5月)。36巻 2003, pp. 118-128)

どういうわけかこの部分の記述に関する限り、自分の天皇論と完全に一致している。石原慎太郎の天皇論もほぼこれを敷衍したものだろう。

あえて言えば、天皇とは日本神話の系譜を引き継ぐ文明の継承者であり体現者であり、証明者でもあるということ。神話に基づく国家の王(祭祀王)というのは、世界で天皇以外誰もいない。

旧約聖書を神話とするならば、ユダヤ民族は神話を所有し、それに基づく生活を継承する民族であると言えるが、彼等ですら神話の系譜に基づいた王を持っていない。

これがどれほどの価値を有しているかを日本人は理解しなければならないと思う。

神話を単なるおとぎ話や作り話に過ぎないと考える、現代の唯物主義者もいるだろうが、所詮唯物主義も科学も神話の文明から生まれた枝葉に過ぎないと彼等自身意識すらしていないだろう。

神話とはあらゆる創造の源泉になっている。というのが文明の歴史が証明している。

さて、三島由紀夫の話に戻る。

近年、三島由紀夫に関する論考で、彼が晩年あのように「右傾化」したのは、ある種の「イレギュラー」であって、本来彼はそんな性格の人物ではない。初期の作品を見れば明らかだ。(『仮面の告白』や『禁色』のような作品を言っているのだろう)というような話。

しかし、私に言わせれば愚論であり、そもそも彼の本質は、日本文明の体現と継承を文芸を持って示そうとした人であることは明らかだろう。

しかし、だんだんそれでは我慢できなくなった。特に戦後、彼自身が守り、拠り所であると信じてきた「日本文明」というものが失われ、穢され、日本人自身からも失われてゆく姿をみながら、もはや限界に達した。

能の世界に「もの狂い」というカテゴリーがあるが、彼こそまさにそうだろう。

他人から見れば子供じみて見える、私設の軍隊を作り、挙句、意欲の薄い市ヶ谷の自衛隊員に決起を促した後、あっけなく腹を切っての自決という。

「そんなことして何になる。無駄死にだ。」

当時も今もそう思う人は多い。石原慎太郎もそういう三島の「最終的な決断」を罵倒し、彼自身はより「現実的な路線」を歩むことになるのだが。

しかし、考えてみれば、彼の死やメッセージは、「永遠化」した。

日本人のみならず、世界中で彼の死の意味について多くの人々が今でも語ることを止めないことを考えれば、彼の意図は「最大限に」達成し得たのかもしれない。

有能な人物、人から羨まれる人物が、自らの人生を悲劇的な形で幕を閉じる、というのは、それ自体、その人物を「永遠化」する。

分かりやすいところで言えば、ケネディー、マリリンモンロー、ダイアナ妃、尾崎豊などがそうかもしれない。いやもっと他にもいろいろ適切な人物がいるだろう。

三島由紀夫なる人物に、古の日本人の意志を受け継ぐ魂が乗り移り、なにがしかのメッセージを与えたかったのだとも言えるならば、残された私達は、それを、天皇というものの真の意味というものを、今見直してみるべき時にあるのではないか

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