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産土神と男女の縁

平成27年6月10日 日本文明・神社・神道
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不思議なご縁で三浦市の産土神と関わることになりました。そこで書き記した文章を以下に転載いたします。

ーーーー

はじめまして、Sさんから不思議なご縁をいただき、小桜姫物語を知ることになりました。私はこれまで、日本という国土、そこに住む人々、そして神々との関わりについて考えてきました。

Sさんに案内されて、油壺の洞窟を参拝させていただいて以降、「三浦」の地が、再びこの三つの要素をつなぎあわせる起点の場所になって欲しいと考えるようになりました。

小桜姫は、夫の死後も思いを失わず、同時に愛する土地を思い続けた後、神界での修行を経て、三浦の産土神のお一人になられました。その経緯が「小桜姫物語」に詳しく書かれています。このように人間の魂の神界修行が詳しく書かれた書物というのは、日本において非常に珍しいことと思います。

さて、産土神は、古来男女の仲を取り持つ役割をも担っていたと考えられておりました。ある書籍に新潟県糸魚川市の伝承譚としてこのような面白いお話がありますのでご紹介いたします。

「十月の神無月には、村中の鎮守が、出雲大社に集まり、人間たちの縁組をとり決めることになっている。ある村に、年をとっても縁に恵まれない男がいたが、自分の良縁を知ろうと、出雲の社の縁の下にもぐりこんで神々の話を盗み聞きしようとした。神々は、朝からあれこれと縁組をとり決めてゆく。たとえば、善人と悪人、大柄な者に小柄な者、利巧な者と馬鹿な者と組み合わせてゆくそうだ。ところが、昼時になっても、晩飯どきになっても、隠れている男の縁談はさっぱり決まらない。神様のほうもだんだん面倒になってきていい加減になってくる。いよいよ終わりの頃になってから、男の住む村の鎮守の神が、実はたった一人残っている男が、この縁の下に隠れている。この者の縁組を決めてくれと申し出た。すると神々は、どこそこの村の旦那衆の一人娘が、死んだばかり、この死人と夫婦にしようと定めた。男は、死人と夫婦など、とても嫌だ。どうしようと、がっかりしてしてまう。しかし神の予言なので、夜が明けてから旦那衆の家に訪ねて行くと、ちょうど死んだ娘の葬式で、野辺送りの段階だった。男が棺のふたをあけてみると、あまりにも美しい娘だったので、思わず娘の背中をポンと叩いた。すると娘の口から餅がとび出し、娘は生き返った。この娘は、餅がのどにつまって死んだのであった。そして男は死人だった娘と、予言通り夫婦になり、一生安楽に暮したという。」

死人の生き返りの話は、話として面白いけれど、それはさておき。神々が出雲に集まって、男女の縁談を決めていくというのは、大変興味深い。神無月になると、出雲へ日本の神々が集まり、産土神も集まって、男女の出会いを算段する。

小桜姫もまた。神無月になると出雲へ行かれるのでありましょう。

「祭り」とは、神々、産土神の魂を、その場へお迎えして、「接待」申し上げる場所であり、同時にそこに集まる人々もまた、その神々の恩恵を受けるものというもの。

こういう古来からの考え方が、日本のあらゆる地域地方からだんだん失われてゆくに従って、特に戦後以降、地方の疲弊というものが進行してきたのではないでしょうか。「生活、労働、お金」。これらはみな私たちにとって、とても重要なものばかりです。しかし、これだけが人々の生きる支えになってしまった時、地の持つ力、天から受ける恩恵を受け取る力が失われていったのではないか。

土地土地がもつエネルギーの源泉は、産土神をそこに住む人々が意識し大切に思うことから始まる。それによって神々もまたその心に応ずる。応神の仕組み。地方に「オンリーワン」の創造力と活力の源泉たる「光」を与え得るものは何か。

日本に稀有の産土神の指南書とも言うべき、「小桜姫物語」を持っている、三浦の地こそ、失われつつある、「地方の躍動」「地方の熱気と活力」、その土地がもつ本来の力を最大限に引き出すパワーを蘇(よみがえ)らせる、起点となり、この国の新しい形の「はじまりの地」とすべきであると思っています。

三浦半島 出雲大社 小桜姫物語 新潟県 産土神 神無月 糸魚川市

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