ヤフーの記事で、米国のある議員がプーチンを暗殺しろと発言したことに対して、別の米国議員が、それは言い過ぎだ、議員がそんなものの言い方をしてはいけない、と言った。という内容のものがあった。

それに対するコメント欄で評価の高かったものの中に、しかしそれ(暗殺)もやむを得ないだろう的なものがあった。その他の多くも大同小異でプーチンはとんでもない極悪人だから成敗されて当然というものであった。

私はこれを見た時、日本人がいかに米国の属国根性に蝕まれているか、しかもそういう人々は自分が属国根性に侵されてるという自覚すらない、というある種の失望感を感じた。多くの日本人、あるいは一般的日本人の多くが「米国の論理」に順応している。

武田信玄は悪で上杉謙信は善と人は言うだろうか。

今回の問題はつきつめればこれと同じ理屈だ。武田信玄が上杉謙信の領土に侵攻したから武田信玄はとんでもない極悪人なんだから成敗されて当然。本質的にはそう言っているのと同じ。

そんなこと言う人間はいないだろう。イラクへの米国の侵攻が起こった時、日本国内の一般的な世論の多くは、イラクのフセインは極悪人だから成敗されるのは当然、という雰囲気だったことをはっきり記憶しているし、何を隠そう自分もそんな考え方だった。

「なぜ日本も多国籍軍に参加しようとしないのか。なさけない。」

もちろん戦争に参加すべきではない、という意見も多かったけれども。

米国がイラクに侵攻する正当性というのは実は何もなかった。要するに米国(あるいはその背後にいる西洋の多国籍企業群/国際金融資本)がイラクの石油利権を自分のものにできない「いらだち」「怒り」から来るものに過ぎなかった。

実は、イラク侵攻は、今回のロシアのウクライナ侵攻よりもはるかに正当性が低い。

その前に、フセインがクウェートへ侵攻したが、その問題自体に米国が参戦する必然性はそもそもない。しかしこの経緯は、今回のロシアのウクライナ侵攻に似ているし、さらにフセインを極悪人扱いしたことともシンクロする。当時のクウェートの背後に米国あるいは石油メジャーがいたとすればさらに両者はシンクロした話だ。

日本が朝鮮半島の併合にいたる事実。あるいは、真珠湾を奇襲して日米と開戦するに至る事実の方がはるかに正当性があるし、米国が朝鮮戦争に突入したのも、これに近い正当性はあるだろう。ベトナム戦争も同様の意味あいはあるだろう。しかし、それぞれの生活圏や影響圏をもつもの同志が自らの自律や生存権を争うという意味では、今回の問題も含め全て同じロジックで動いでいるに過ぎないとも言える。

ドネツク・ルガンスク問題を語るのは同地域での背景が複雑で難しいが、同地域でのロシア人に対する「ネオナチ」私設軍隊による不当な迫害は連日起こっていた。

ウクライナはロシアとの同地域に関わる条約を全く履行しようともしなかった。現政権もネオナチの組織にも米国やその背後の勢力が深く関わっている。

日本の国益に絡み、ロシアを擁護することはできない。

というのは事実だし、そのように見解するのは日本にとって正当性のある考え方だ。

日本は米国に庇護されなければ自国の領土と国民の安全を保持できないのだから。

あるいは経済的なメリットデメリットで考えても、米国に与する方が得策という見方もあるだろう。少なくとも今回は、米国のみならず、西欧社会の国益や利益も深く絡んでいる。

だからと言って、欧米メディアあるいはその背後にいる勢力の神輿を担ぐ必要は全くない。

日本人は戦後米国の庇護の下、生ぬるい「平和」あるいは「マトリクス的平和世界」の中に耽溺してしまい、国際社会が第二次世界大戦終結以降も今日にいたるまで、陰に陽に一度として戦争がなかったことはないという現実を忘れてしまったに過ぎない。

私自身、今回の問題で、なにが悪でなにが善かという「米国的」なロジックに無意識に混乱させられていたが、ようやく自分の中でこの問題の立ち位置を明確化できたような気がしている。

この問題はつきつめれば善でも悪でもなく、単に国際社会における勢力争いの一局面に過ぎないということ。

本当に独自の外交を展開(いかなる他国にも影響を受けずに自律するということ)したければ日本は軍備を整え核武装して在日米軍を撤退させる必要があるだろう。

核武装についてだが、現代の国際社会では核武装していない国家は、核武装している国家あるいは勢力の傘下に入るか、編入されるかの選択肢以外に自国の安全を担保する方法はないというのが現実である。

そうすれば日本人自身の本当の立ち位置は明確化し、ヤフーのコメント欄のような書き込みが賞賛されるようなことはなくなるだろう。

また、国家間の問題とウクライナの一般国民の不運や自国を侵略された彼らの悲劇や怒りの問題はこれとは別の次元で扱うべきである。

日本人はこの両者を混同する人々が極めて多い。それも日本が戦後「平和」だったから起こっている現象であろう。

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